第46話 セレスくんに甘やかされて


「幸せって、何もすることがないのね…」


「ハルカ…そういう事を言えるのは、真面目で優しい旦那を貰った女の特権なのよ」


「静子、それは解るわ…だけど、私だってセレスに何かしてあげたいのに…彼奴、何もさせてくれないのよ…」


「仕方ないじゃない、セレスくんなんだから…」


「そう、そう、セレスさんだもの」


「セレスちゃんだから…」



ハルカがこんな事を言うのも解る。


あの後、近くの冒険者ギルドで正式にハルカ、ミサキ、サヨも籍を入れて、そこから王都に来たんだけど…


「本当にこれで良いのかしら?」


私達は今、岩盤浴のあるスパに来ているのよ。


「愛されているから仕方ないんじゃない…セレスさんが言うんだから」


「私は、セレスと一緒に狩をしたいの」


「ハルカ、諦めようよ…セレスさんにまた言われるよ」


「セレスちゃん、こういう所は頑固だからね」


セレスくんに一緒に狩りをしようと言ったら…


『静子さん達にそんな危ない事させられないよ…もし手伝ってくれるなら家事をしてくれるだけで良いよ』


そう言われ、1人で行ってしまった。


1人なら確かにそれでも良いんだけど4人居るから家事なんて直ぐに終わってしまうわ。


『暇だからセレス手伝わせて』


そうハルカが言ったのだけど、そうしたら…


『それなら、最近、色々なエステと言うのが流行っているから行って来たら』


そう言われ、金貨10枚渡されたのよ。


「良いじゃない? どう考えても理想の旦那様じゃない」


「静子の言う通りよ…こんな生活、愛されて無いと出来ないわ、セレスさんに甘えちゃいましょう」


「そうね、セレスちゃんに甘えましょう」


「だけどさぁ…ああっ、もう良いや…私も楽しむ!」


こんな感じで…家事は直ぐに終わり、エステ三昧。


毎日の様にこれで、遊んでいるみたいで申し訳ないのよ。


特にハルカは、セレスに手伝わせて欲しいと言うのだけど…


『ごめん、これは俺の我儘だから気にしないで…大好きな人には怪我なんかして欲しく無いし…綺麗でいてくれる事が一番嬉しいから』


そんな事を真顔で言うのよ…


流石のハルカも、顔を真っ赤にして、何も言えなくなっちゃたわ。


下手な貴族より良い生活をさせて貰っている。


お昼も毎日…高級店でランチ…


セレスくんが…此処美味しいからと前日に予約を入れてしまうのよね…


「しかし、セレスさんはなんで、頻繁に狩りに行くのかしら?」


「大物ばかり狩っているからお金に困らないよね…この高級アパートメントだって現金で買っちゃったんだよね」


「それなら、ハルカ、セレスくんは…愛に溺れると大変だから、週5は必ず働くって決めているんだって」


「あらあら…そうね、セレスさん、あっちは激しいから」


「あれを味わっちゃったらもう、セレスちゃんを子供なんて思えないわね」


「セレスは…私なんてもうおばさんなのに…」


「ハルカ…それは言わない約束でしょう」


「セレスの前じゃ言わないよ…だけど…少し恥ずかしいのよ…ああいうのなんて着た事ないから」


「良いじゃない? セレスさんが喜ぶんだから」


「そうね、セレスちゃんが喜ぶなら恥ずかしいけど良いわ」


私達はセレスが言うと嫌な顔をするから言わないけど…良い歳のおばさんだわ。


それなのに、毎日求めてくるし…此処迄、愛してくれるから…何かして欲しいことあるか聞いたら…


『高級ランジェリーを着て欲しい』って言われちゃったのよ。


貴族が着るような高級な下着…しかも…セレスくんの好みは透けている物や布の面積は少ない物ばかり…最初は恥ずかしかったけど…もう慣れたわね。


◆◆◆


ハルカが言う通り…本当にこれで良いのか、悩む事は多いわ。


だけど…セレスくんにとって私達が『宝物』なんだから仕方ないわよね。


だったら、頑張って女を磨いて…セレスくんを喜ばせる…それしかないわ…













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