第35話 奴隷市場





憂鬱だ。


恨んでいない…それなのに何か復讐しないといけない。


周りから見て復讐に見えて、当人たちは余り堪えない。


それを模索しないといけない。


静子たちと話していると、結構残酷な話になるので…1人で考えた方が良いだろう。


アイデアを求めて、隣の街まできた。


此処は少し開けていて…王都が東京の新宿や渋谷、池袋だとすれば、地方都市位までは開けている、冒険者ギルドもあれば、商業ギルド、教会もある、そして娼館も2~3軒


何か…良いヒントはないか…


商業ギルドの掲示板を見ると『奴隷市場開催中…オークマンの購入相談無料』


そんな張り紙が貼ってある。


オークマンとは身の丈220センチの大男で、冒険者をしながら、その収入で奴隷を買いハーレム生活を送っている有名人だ。


まぁ王都では有名人だ。


そう言えば『皆が皆…奴隷を買いたい』そう言っていたな。


見に行って見るか?


俺は奴隷市場を見に行く事にした。


凄いな…王都の奴隷商人の開催だけあってなかなか大きい規模だ。


だが、時期が悪い。


今の時期は、近隣の村は収穫前…1年で1番金が無い時期だ。


この時期に大きなお金は皆…持ってないだろう。


「おい、あんたドラゴンキラーのセレスだろう?」


俺はセレスだが、ドラゴンキラーってなんだ?


「確かに俺はセレスだが、ドラゴンキラーって、ああっオークマン?」


「がははははっ、俺がオークマンと呼ばれている様にあんたもドラゴンキラーって一部の冒険者に言われているんだよ…いやぁ良かったよ、あんたならお金持っているよな? 冷やかしばかりで困っているんだ…10人位買っていってくれ」


「俺には…1人の妻と3人の婚約者がいる…無理だな」


ヤバい…よく考えたら静子とはギルド婚していたけど、後の3人はまだだった、村じゃ届けを出さないでも事実婚で通用するからつい忘れていた…此処に来るなら、一緒に来れば良かった。


「何言っているんだ? たった4人じゃねーか? 俺は10人の妻が居るんだぜ、知っているだろう? まだまだ増やせる、あんたは稼げる男だ…」


「確かに稼げるが、妻が怖い…死にたくないから…」


うん? そうか…これなら…大丈夫か…いけるかも知れない。


「そうだな…俺は駄目だが、購入者を紹介出来るかも知れない、案内してくれるかな?」


「ああっ、暇だから良いぜ!」


オークマンに市場を案内して貰った。


結構、良い子が沢山いる。


「随分、若い子も居るんだな」


「まぁな、親に売られたんだろう可哀そうにな…奴隷を買うという事は彼女達を助けるという事なんだぜ」


「そうか、そういう面もあるんだな」


「ああっ、だから人助けだと思って買ってやれ」


「そうだな…あれ、エルフやダークエルフは高額な筈だろう…何で安いんだ」


「ああっ、あれは高齢なんだ、エルフは200歳超えても見た目は解らないからな、エルフが高いのはその美貌だけじゃない、代々の家の財産になるから価値が高い、あの金額だときっと寿命があと30年位の筈だ…その証拠に、生体保証がない」


「生体保証?」


「ああっ王都の奴隷商の場合は、病気や体に異常があって死んだ場合3年以内に、国家資格のある治療師の診断書を出せば同金額の奴隷を無償で貰えるんだ…その保証が無いからかなり高齢だな…最もエルフの中で婆さんというだけで、通常は30年以上生きるから、元は取れる…最も匂いに敏感なら加齢臭は凄いがな」


「30年生きるなら人間として考えたら充分だな」


※この世界の人族の寿命は50年~60年です。


「そうだろう? 20歳位の人族買うのと同じだ、エルフ好きなら最高だぜ」


「確かに…あそこに居る、貴族令嬢みたいな子は…これも思ったより安いな」


「貴族令嬢っていったら、役立たずの定番だぜ、家事も手伝わない、教養を持ち出して人を馬鹿にする…それに貴族とはいえ、こんな所で売られる奴の多くは王族や大貴族を怒らせた奴ばかり…厄介もんだぜ」


「なんだか、俺の常識が全部否定されているようだ」


「だろう? 知らないと損をするんだぜ」


「解った…そうだな、手付を払って予約とかできるかな? もし購入しなかったら返さないで良いから」


「ああっ出来るぜ、余程の高級な奴隷じゃ無ければ銀貨2枚14日間は取り置きできるぜ」


「それじゃぁ…」


俺はオークマンと一緒に奴隷市場を周り、何人かの奴隷の予約をした。


「なんだかんだ言って随分買う気まんまんじゃねーか」


「まぁな」


これなら...多分、大丈夫だ…




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