第30話 【閑話】心の別れ ゼクトの場合
『これでセレスに三人を押し付けられる』
全てが丸く収まる…結構、結構コケコッコーだ。
俺は今迄、呪いに掛かっていた…
本当に呪いとしか思えない…この程度の女が好きだったなんて…
外見も性格も…そんな良い奴じゃない。
こんな女の為に俺は親友をセレスを失った…
本当に腹立たしいな。
昔、冒険者に『性欲には気をつけろ』そう教わった事がある…
まさに俺が掛かった呪いがそれだ。
この冒険者が言っていたが、女の冒険者1人と幼馴染と一緒に長期の依頼を受けたらしい…
人里離れた場所で男2人と女1人…傍に居る女冒険者は凄い美人、当然取り合いになる、幼馴染と取り合いの末、敗れた冒険者は二人がいちゃつくなか、寂しく過ごしたそうだ…死にたい…そうとさえ思ったらしい。
だが、この話はそこで終わらない。
『いやぁ~怖いわ…ああいう状況だと、女って凄く綺麗に感じるんだな…溜まっていたから、金を握りしめて娼館に行ったら…ほぼ全員があの時の女冒険者なんかより綺麗だったよ…抜いて貰ってから、街であの女冒険者を見たけど…あれはブス…そうブスだった、幼馴染がその横を悲しそうに歩いていたけど…スッキリしたよ』
こんな事を親父と面白そうに話していた。
今の俺にこの話はそっくり当てはまる。
『聖女』だ『賢者』だ『剣聖』だ…なんていっても所詮は村娘。
そんな各段と可愛いわけじゃ無い。
今迄、此奴らが可愛く見えていたのは、この3人しか居ない環境で生活をしていたからだ。
そしてこの3人を綺麗に見えるようにするに人間が居たからそう見えた。
それだけだ…
村に居た時にはその母親が…
少し前まではセレスが世話を焼き…身ぎれいにさせ、手入れをしていた。
だからこそ『可愛かった』んだ…
それが無くなった今…本当の此奴らが見えてきた。
そんなに可愛くない…
そんなに綺麗でもない…
そこら辺に転がっている普通の女だ。
それは三人の中で一番綺麗で、本当に愛していたマリアでもそうだ。
風になびいていた綺麗な薄紫の髪に白い肌、スレンダーなスタイル。
俺にとっては本当に好みの女だった。
だが、世話をやくセレスが居なくなったら…ボサボサで汚らしい髪…顔にはシミやそばかすが見え…気のせいか体までぽっちゃりしてきた。
普通じゃない。
女に上中下をつけるならもう中じゃない…下の上だ。
セレスがあの三人にしていた事を街でやらせようとしたら1人銀貨3枚(約3万円)掛かるんだ。
金を掛けなければ…可愛くいられない…
そんな女だった。
しかも…それだけじゃない…あいつ等は性格まで悪い。
俺の母親は…下着なんて男に洗わせたりしない。
多分、村に居た他の女だってそうだ。
普通の女なら恥じらいがあって恥ずかしいから、そんな事は男にさせない。
食事だってそうだ、セレスの味は無理でも、ちゃんとした物を出せない女は村には居ないだろう。
今迄、宝物だと思っていた三人が全員ゴミだったんだ。
しかも、三職だから、妊娠が怖くて抱けねーんだ。
更に女の価値が無い。
最も…今の三人を俺が抱きたいか?
そう言われれば抱きたくも無い。
魔王を討伐すれば…俺には次のステージがある。
王女との婚姻に貴族の側室、それが待っている。
亜人扱いだからエルフはそこに加えられないが、最高の人生が待っている。
そこにこの三人は要らない。
だが…魔王と戦う為には必要な駒だ。
だったら…セレスに全員やれば良い。
セレスに譲るなら『親友に譲った』と教会や国王にも言い訳がきく。
ゴミ女を戦力として魔王討伐まで手元に置いて、更にセレスに俺の傍で働いて貰える。
最高じゃないか…
セレス、お前に全部くれてやる…
これで良い…いや、これが最善じゃないか。
要らない女を利用しきって処分…セレスが親友に戻り感謝…
素晴らしい。
これなら戻ってきてくれるよな…親友。
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