【幻の9.5話】 IF 最愛の人 ※ハーレムが嫌いだという貴方に捧ぐ物語



9話の途中から改変してエンド、これは短編で終わった場合のIFの物語です。

本編とは関係なしです。




「おはようございます」


「はい、おはよう~」


とは言うけど、もう朝じゃない、夜になっていた。


もうすぐまた寝る時間だ。


体の相性が良いのか、24時間近くやっていた事になる。


乱れたベッドの上で俺を見つめてくる静子を見ると、ちょっと恥ずかしい物もあるし、今迄の事が現実なんだと言う安心感がようやく自覚してきた。


流石に疲れているだろうな。


「静子さんはそのまま寝ていて良いよ、俺なにか作るから」


「先にベッドを綺麗にして、シャワーを浴びた方が良くないかしら?流石に汗とその…ベトベトだわ」


確かに汗をかいたけど、それが妙に心地よく感じる。


「静子さんの匂いがするから、もう少しこのままで良いや」


「もう! そんな恥ずかしい事言わないで、さっさとシャワー浴びるわよ!」


そう言って静子は俺の手をとり風呂場へ引っ張っていく。


「ちょっと寂しいな」


俺が口から漏らすと、


「そんなに私の匂いが好きなら、またつけてあげるから、寂しそうな顔しないでよ」


恥ずかしそうにいう静子が凄く可愛く思えて、すぐにまた元気になり、そのままシャワーを浴びながら結局やり始めてしまった。


「若いって凄いわね…またそんなに…あっ…違うわ、セレスくんが、ハァハァ凄いのかな」


若い体に心が引っ張られている気がする。


もう少し落ち着いて行動できると思っていたのに、体が静子に反応してしまう。


冷静に考えれば『やりたい盛り』の10代の体で少し前まで童貞。


そして目の前に居る女性が『初恋にして理想の女性』そう簡単に鎮まるわけが無いな。


俺はここまで性欲の塊みたいな男だったのか?


前世も含めて『違う』


恐らくは凄く相性が良い…そうとしか思えない。


静子が俺の全てを受け入れてくれてくれるから余計に鎮まらない


結局お風呂場を後にしたのはそこからまた2時間以上が過ぎた頃だった。


「なんだかゴメン」


「女として求められるのは嬉しいけど、流石にもうヘトヘトだわ、一旦冷静になりましょう」


「そうだね」


そう言うと静子はお風呂場やベッドをかたし始めた。


俺は最初の予定通り食事を作り始める。


ある食材から作れるのは、オムライスとスープか…


簡単に作れて、さっと食べられるからこれで良いや。


ライスモドキをハムと玉ねぎと一緒に自家製のケチャップで炒める。


トロトロの卵を箸で少し崩して上から布団を掛けるように掛けて…静子と書いてハートで囲めばはい出来あがり!


愛情オムライスの完成!


「静子さん、ご飯出来たよ」


「相変わらず手際が良いわね、あっ、オムライス作ってくれたんだ、懐かしいわね、だけど、セレスくんは、良くこういうハイカラな料理つくるよね、私には出来ないわ、うふふふっ、ハートマークがついているわ!嬉しいわ」


知識チートは出来ないけど、ケチャップとかマヨネーズは大きな都市に行かないと無い。


作るのは大して難しくないがソースや醤油と並んで高級調味料として売られている。


異世界調味料と一括りされているせいか、そこそこ高い。


醤油やソースの作り方は解らないがこの二つは俺だって再現は可能だ。

「冷めないうちに食べよう…いただきます!」


「いただきます」


嬉しそうに食べる静子さんを頬杖をついて見つめてしまった。


良く主婦が「やりがいが無い」「つくりがいが無い」って言うが良くこの世界に来て解るようになった。


感謝もしないゼクトやマリア達に作るのと静子さんに作るのは全く違う。


美味しそうに食べてくれる静子さんになら『また作ってあげたい』そう思うが、あいつ等相手だと『仕方ないから』そういう気持ちが強かった。


全然違うよな。


彼奴らには間違ってもハートマークなんて書いてやりたいと思わないもんな。


「また、私の事見つめて、食べないの?」


「いや、つい見惚れちゃって」


「うふふふっ、またそんな事言って、もう! それでこれからどうするの? やりたい事があるなら手伝うし応援するわ」


やりたい事か?


もう既にないかも知れないな。


冒険者のランクはSランク、ゼクトには届かないが世界に30人も居ない頂点だ。


静子さんをこのまま妻に迎えて怠惰に暮らせばそれで充分だな。


「今が凄く幸せだけど、もう一つやりたい事があるんだ」


「何かしら? 私に手伝えることかしら」


「寧ろ、静子さんにしか手伝えない事だよ!」


「何かしら?」


「それは内緒だけど…今から一緒に出掛けようか?」


「ちょっと何処に出掛けるの?」


「それは内緒」


俺はおずおずと歩く静子の手を引きながら街中を歩いた。


一軒の高級な服屋を見つけた。


この世界の高級な服の多くはオーダーメイドで、余程の金持ちじゃ無いと買わない。


だから注文して待たないといけないが、この店には前世で言う『吊り下げ品』があった。


「静子さん、入ろうか?」


「ちょっと、セレスくん…此処は…私には分不相応だわ」


「良いから、良いから…すいません、そこにあるのは吊り下げ品で買えますよね」


「ええっ買えますよ…ですが高級品ですが」


「これでもS級冒険者ですから大丈夫です…静子さん、好きな服を選んで買ってあげるから」


「ちょちょっとセレスくん、こんな服、私には似合わないわ」


「だ~め、綺麗な静子さんを俺が見たいだけだから、買わないという選択は無いよ」


うんうん、困った様な顔をして服を選ぶ静子さんは、やはり可愛い。


「この服なら..似合いそうかな…」


「うん…凄く似合うよ…それじゃ、すいませんこの服買います、あと着替えていきますので更衣室貸して下さい」


「はい、お買い上げありがとうございます」


「セレスくん、ちょっと…」


「駄目…俺のやりたい事に付き合ってくれるんでしょう?」


静子さんは少し溜息をついて...着替えてくれた。


「少し恥ずかしいわ」


「そんなこと無いよ…凄く綺麗だ」


「もう、セレスくんたら」


そのまま静子の手を引き、今度は宝石商にいった。


「いらっしゃいませ、セレス様」


「何でしっているの?」


「はははっ勇者パーティの方ですよね、有名人ですよ」


「それなら話が早いや、好きな人が出来たから、お揃いのペアリングが欲しいんだ…無いかな」


「余程仲が宜しいんですね、サイズを計りましょう」


「セ…セレスくん、これは何?」


「静子さんを僕が大好きだからお揃いの指輪をつけたいんだ」


「そうなの? 別に構わないけど…高いんじゃないの?」


「気にしない、気にしない」


「これなど如何ですか?」


「へぇ~凄く良いね、シンプルなのが…気にいった幾ら」


「二つで金貨5枚です」


「買った…左手の薬指に嵌めたいからサイズ調整急いでくれる」


直ぐに俺と静子の指を計測して作業に掛かってくれた。


「畏まりました」


「ちょっとセレスくん…なんで服や指輪を買ってくれたの?」


「それはまだ内緒」


「良いわ付き合う約束だから」


「指輪のサイズ調整の方が完成しました」


「ありがとう…静子さん左手だして…」


「はい」


「愛しているよ…」


そう声に出し…静子さんの左手薬指に指輪をはめた。


「嬉しいけど、恥ずかしいわ」


「そうかな…今度は静子さんの番、俺の左手薬指に指輪をはめて」


「これで良いの?」


「うん、後は愛しているって言って欲しいな」


「恥ずかしいわ…言わないと駄目」


「駄目」


「もう…解ったわ、愛しているわ」


「ありがとう」


恥ずかしい様子を見て見ぬふりをしてくれた店員さんに感謝の意味を込めて金貨1枚+して金貨6枚払った。


後は…


「セレスくん、なんで冒険者ギルドに?」


此処が最後の目的地だ。


「すいません…ギルド婚しますので用紙下さい」


「セレスくん…嘘…私と結婚してくれるの?」


「そう…これが俺がやりたい事だからね…」


「セレスくん…本当に信じられない…夢みたい…ありがとう」


「こちらが用紙になります」


「それじゃ俺からサインするね」


「はい」


俺がサインしたあと、静子が泣きながらサインをしていた。


「これで…夫婦なのね..嬉しいわ」


「俺も嬉しいよ」


「おめでとうございます、今日の記念にネックレス等」


「それは要らないや」


「そうですか…お酒など振舞っては如何でしょうか? 皆様が祝福してくれますよ」


これはケチっちゃいけないな。


「そうだな…金貨20枚払うから数日皆に飲み食いさせてくれ」


「20枚ですか」


「ああっ20枚だ」


「「「「「「「「「「ご結婚おめでとうー―――っ」」」」」」」」」」


「「「「「「「「「「幸せになれよー――っ」」」」」」」」」」


声が枯れる程大きな声で祝福してくれた。


「セレスくん…私…私..凄く幸せだよ」


この世界では貴族でない限りドレスなんて着ない。


指輪の交換も無い...だが、俺はこれがしたかったんだ。


その日の夜は何時も以上に濃厚で…最高の夜だった。


『結婚初夜』だし...うん当たり前だな。


◆◆◆


結局、村には帰らなかった。


二人で暮らせる小さな家を買い…自由気ままに暮らす。


これ以上の幸せは無いからな。


幸せで安全な生活…それが一番だ、俺には守りたいものがある。


「セレス見つけたぞ」


「ゼクト…どうした?」


「頼むよ、俺たちの旅にはお前が必要なんだ、頼むからな」


「私達が悪かった、お願い戻ってきて」


「本当に済まなかった、頼むから」


「あの時は…どうかしてた、嫌じゃ無かったら私とやりなおそう」


皆、やつれているな。


だが、俺は…


「悪いが断らせてくれ」


「ああっメルじゃ嫌だよな…マリアが良いのか?それともリダが良いのか? どちらでもやる…だから頼むよ」


「マリア、リダ…ゼクトがこう言っているが、お前達はそれで良いのか?」


「セレスが戻ってきてくれるなら構わない」


「私も同じよ」


「馬鹿か? ゼクトが好きなんじゃ無いのか? ちゃんと貫けよ」


「なぁ…1人が嫌なら2人やるよ…だから頼むよ」


「おまえな…」


「ゼクト…なにしているのかな?」


「か…母さん、なんでこんな所にいるんだよ


「それは…私がセレスと結婚したから…あんた、私の旦那に女押し付けるの止めてくれるかな?」


「母さん頼む、俺達にはセレスが必要なんだ」


「ゼクト…幾ら言われても俺は行かない」


「頼むよ…そうだ母さんと結婚したなら親父だろう」


「セレスお願い」


「お願いだ」


「お願いします」


「幾ら言われても無理だよ…静子のお腹には俺の子供が居るんだ、お前の弟がな…諦めてくれ」


「ゼクト…母さんの幸せ壊したりしないよね…」


「嘘だろう、母さんがセレスの子…セレスの子を産むのか…そういう関係って事…」


「うん、恥ずかしいけど母さんは、セレスくんの妻で女だもん、貴方が思った事よりもっとすごい事を沢山しているわ…ねぇセレスくん…うふふふっ、私の体でセレスくんが触ってない所は無いわ、同じくセレスくんの体で私が触って場所は無い、しかも口でね」


そう言いながら静子は俺に寄りかかってきた。


マリア達三人は顔を真っ赤にしている。


逆にゼクトは顔が真っ青だ。


瞬く俺を達を見ていたら…急に泣き出しやがった。


「…もういい、こない」


そう言うと泣きながら走っていってしまった。


慌てて三人も後を追うように立ち去っていった。


それ以降のゼクトは知らない…もう会う事も無いだろう


FIN


※この話はハーレムが嫌いだという人の為に書いた短編エンドです。

 これで如何でしょうか

本編とは違います。






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