第21話 静子なりの計画



結局、ミサキもサヨもセレスくんの事で盛り上がり、酒盛りはお茶会に変わってしまった。


2人とも、いえハルカも含んで3人ともそうなんだけど、ちゃんとした話になるとお酒は飲まない。


いい加減に見えて意外としっかりしているのよね。


「セレスさんは本当にそうなの? もしそうだとしても私やミサキまで愛して貰えるとは思えないけど」


「セレスちゃんも、もう大人だし…本当にそうなら嬉しいし今なら、恥ずかしいけど受け入れられるよ…だけど信じられないわ」


「うふふっ、それは変わらないわ、小さい頃からの思いは何も変わっていないわよ…今でも凄く良い子だし、優しいわ」


「それで、なんで、私達もなの? 静子にハルカ、その二人で充分だと思うし…セレスさんがハーレムが欲しいって言っていたわけじゃ無いんでしょう」


「セレスちゃんの性格からして言わないと思うな、どうして静子は私達に声を掛けたのか…まさか大昔の誓いだからとか言わないわよね」


「そうね…私は…息子に怒っているのよ…私達が言ったから、セレスくんはあの4人に付いていってくれた…家事も雑用も何も言わずに全部引き受けて、お金迄自分で調達してついていてくれたのよ」


「「そうなの(か)」」


私はゼクト達がセレスくんに何をしたのか話した。


「そう…マリアがそんな事してたのね、私がセレスちゃんに娘を頼んだから…苦労させちゃったんだ」


「あら、あらメルはそんな事していたのね…親子だから命までは取らないけど、お仕置きが必要よね…どうしてやろうかな?」


「それでね、私なりにどうするか考えたの、 その一つが私達がセレスくんと結婚してこの村から居なくなる事…そうしたらあの子たちの居場所は無くなるわね…私達が居なくなれば、帰って来ても楽しく過ごせないと思わない?」


「ふふっそうだね、私が居なくなれば、うちの旦那は奴隷でも買って後添いにしそうだもん、確かにマリアの居場所はそこには無いわね」


「私の所も同じだわ、メルの居場所は間違いなくなくなるわね」


「ゼクト達への罰の1つは故郷を亡くすことなの…これで勇者として凱旋しても実家に居場所は無いわ、帰ってきたら驚くわ…まぁ、あの子の事だから、それでも平気でいそうだけどね」


「そうね、驚くかも知れないけど、堪えない気がする」


「そうね、右に同じ」


此処からが本題…


「うふふふっ、それだけじゃないの…もし追い出されたセレスくんが、本当は強くて勇者以上の活躍をしたらどうかな?」


「まさか、セレスちゃんに活躍させる…そう言う事なのね」


「セレスさんが勇者パーティ以上の活躍をする…確かにあの子たちの面目は丸潰れになるわ…だけど、出来るかしら? 私達も流石にロートルよ」


「うふふっ、随分弱気なのね…『涙目の氷姫』ともあろうサヨが…『私の前では全てが凍り付く』とか言ってくれないの?」


「あれは、流石に若気の至りです…恥ずかしくて言えないわ…だけど面白そう…やってみてもいいわ」


「そう…ミサキは言わないの『黒の狂騎士』に怖い物などない…魔族なんてなます斬りに…」


「やめてー――っあれは若気の至りだから…だけど、それでセレスちゃんの為になるんなら良いかもね」


「それじゃ二人とも『愛の無い家庭』は捨てて私やセレスくんと愛あるパーティを作る…これで良いわね」


「解ったよ…ちゃんとセレスちゃんが筋を通しにきてくれるんだよね」


「解ったわ…セレスくんが迎えに来てくれるんだよね」


「そうよ…あっそろそろ良いかな…出かけるわよ」


「「何処に?」」


「うふふっ、証拠を見せる、約束したわよね」


◆◆◆


「此処って静子の家だよね」


「静子の家にこんな時間に来て…どうかしたの?」


「しっ静かにして…此処からは喋らないで」


『『解った(よ)(わ)』』


うんうん、セレスくん以外の女物の靴もある…という事はハルカとは上手くいったのね。


『本当に、本当に静かに歩いてね…』


『静子…まさか』


『ちょっと趣味悪いわよ』


『良いから、良いから…その目で見ないと安心できない…えっセレスくんにハルカぁ?』


「おかえりなさい、静子さん、それにいらっしゃい、サヨさんにミサキさん!」


「ねぇ、セレス言った通りだったでしょう?」


「だけど、本当に来るとは思わなかったよ」


「何で起きているのよ!」


「静子、私だって一緒のパーティだったんだよ…読めるよ」


「そうね、流石は『笑顔の切り裂き魔』、その恐るべき勘は健在なのね」


「違うわ…その字は私は嫌いなの知っているよね」


「切り裂き魔…姉さんが?」


「セレスー-っ違うから、これは…そう誤解、誤解よ」


「静子、折角2人で楽しんでいたんだから邪魔しちゃ悪いわよ…セレスさんも男の子ね…うんうん、安心安心」


「ハルカがいけるなら私も充分いけるわね…セレスちゃん…大人になって私も嬉しいわ」



「皆、勘ぐっている所悪いけど…もう、そう言う行為は終わって、セレスとかたづけていた所だから…残念ね」


「あらっ『そう言う行為』ってなにかしら? ハルカ教えてくれない?」


「それは…」


「ミサキ、サヨ…もう止めてあげて…それでねセレスくんは無事にハルカと結ばれたのよね」


「ゴメン…」


「別に怒ってないわ、仕向けたのは私だしね、良かったわね…それでねセレスくん、いきなりだけど、サヨとミサキも貰ってくれない?」


「ねぇ…セレス私の言った通りになったでしょう?」


「静子さん、姉さん…それにサヨさんにミサキさん…流石に頭がついていかないよ…嬉しい事は嬉しいだけど…詳しく説明してくれるかな」


「夜は長いからね、説明してあげる」


私はセレスくんに、自分の計画について話し始めた。








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る