第12話 【閑話】S級



「セレスくん、凄いわね」


「まぁこの位はどうにかね」


そう言いながらセレスくんは収納袋にオーガキング他30体のオーガを放り込んだ。


はにかみながら笑う笑顔は本当に可愛らしく愛おしい。


「セレスくん、凄く強いじゃない!」


S級と言うのは範疇に収まらない者、全部になるわ。


A級を超えたそれ以外の共通点は無い。


つまりA級を少し超えた存在でもA級が50人掛かりで敵わない様な存在でも同じS級となる。


私の仲間は全てS級ではあるけど、こんな桁外れじゃないわ。


オーガキングは確かに一対一で倒せるけど、他にオーガが30体となると4人が全員揃っても全滅の可能性は高いわ。


それをたった1人で…


これで、本当にゼクトより弱いの?


「ソロでお金を稼がなくちゃいけなくて、結構狩りをしていましたから」


「セレスくん、勇者パーティに所属しているのに何でお金の心配が必要だったのかしら」


「パーティと言っても四職じゃないから支援金が貰えないので自腹で付いていくしかないんですよ」


「それじゃ、ゼクト達の魔王討伐の戦いに加わりながら、自分の生活費を稼ぐ為に別に依頼を受けて狩をしていた…そう言う事なの?」


「まぁね、仕方ないから」


私達が息子(娘)を頼む、そう言ったから、そこ迄してくれたのかしら。


それに話を聞くと、二足のわらじを履いたうえで家事迄丸投げされ、随分大変だった筈だわ。


「それって私達が頼んだからよね、ごめんなさい…」


「静子さんが謝る必要は無いよ、親父…じゃ無かった友達として付いていってやりたい、そう思って決めたのは俺だから」



「そう言って貰えると助かるわ、ごめんね、そしてありがとう」


「別に良いよ、本当に俺が好きで付いていっただけだから」


「それでセレスくんに聞きたいんだけど? 今までで一番の大物って何を狩った事がある?」


オーガキングの群れを壊滅出来る位だから、かなり強い物を狩った事がある筈だわ。


「竜種かな? ワイバーン、地竜、岩竜、水竜多分この辺りが一番の大物の気がする」


「あの…そこ迄の大物を狩れて、本当にゼクト達より弱いの?」


「実際の所は解らないよ、 4人の連携に加わるのも悪いから、遠巻きに雑魚を狩って露払いをしていたから良くは解らないけど、勇者パーティだからきっと俺より強いと思う」


「そうなんだ、だけど竜を狩ったのなら、なんで『ドラゴンスレイヤー』になってないのかな?」


「勇者パーティで旅から旅なんで勲章とか称号を貰う時間が無かっただけかな」


「本当にごめんなさい…その辺りも今度聞いてみましょう」


「そうだね」


勇者の中には竜種を狩れなかった位弱い勇者もいたらしいわね。


そう考えたらゼクトとそんなに差があるとは思えないわ。


だってセレスくんはS級でも桁違いに強いんだもの。






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