第27話 前澤社長とドライブ
前澤社長の車に乗せてもらった。
流石に社長なだけあって高級車に乗せてもらった。
俺は車を持っていないし興味ないから分からないけど、もしかしてポルシェというやつなのでは?
違うにしても、車内はピカピカで、エンジン音とか挙動で明らかに高い車だというのは分かった。
俺達二人はその高級車に乗って、目的地に向かっていた。
「何があったんですか?」
電話があってから俺は着替えた。
それからすぐにインターホンは鳴らされ、前澤社長が来たので全然事情を聞けていない。
「キラリが辞表を出したの」
「ええっ!?」
想像の斜め上を行く話だった。
また炎上騒動かと思ったけど、それよりも上の話だった。
「なんで、ですか?」
「一身上の都合としか書かれてなかったわ」
「それにしたって、本人から事情を聞いたんじゃないんですか?」
「親に無理やり書かされたみたい。辞表は親が持ってきたものだし、私も詳しいことは聞けていないの。多分、スマホを没収されてる。話の途中で連絡が返って来なくなったから」
「そんな……」
いきなりそんな話に飛躍するなんて。
父親にはVtuberであることを内緒にしていたとか言っていたよな。
それが父親にバレてしまったのか?
「だから担当であるあなたと一緒に乗り込むわ」
「いいんですか? それ?」
「あなたこそいいの? キラリをこのままにして?」
「それは……」
最初はキラリには拒まれた。
――私、男の人嫌です。
警戒心丸出しで、きっと異性に色々嫌な思いをされたんだろう。
俺に近づくのも嫌そうだった。
――すいませんでした、マネージャー。
ツルギ王子とのプチ炎上事件の時に頭を下げて来た。
あの時ぐらいから俺のことを認めてくれた気がする。
頑張って良かった。
――マネージャー、私の彼氏になって下さい。
マネージャーをやっていく中で、俺は信頼される男になれたんだろうか。
突飛なことを頼まれる仲にはなった。
彼女にできるだけのことはしようと決意した。
――はい!! 一応、同接2万人は超えましたからね!!
それからキラリは復活配信で、見事に目標同接を突破した。
全てはこれからだったはずだ。
段々と俺とキラリは連携が取れて行って、そして彼女がちゃんとしたVtuberとしてやっていくはずだった。
それなのに、親の考えでVtuberを辞めることになるなんて、あまりにも勿体なさ過ぎる。
それぞれの家庭には事情があって、他人が口出しするようなことじゃないかも知れない。
だけど、俺は彼女の担当マネージャーだ。
「嫌です。せめて本人から詳しい事情を聞きたいです」
「そうよね。だから私達は向かっているの、彼女の家に」
お互いの意思を確認して、俺達はキラリからちゃんと事情を聞くことにした。
それから車を発進させて数十分。
二階建ての一戸建てに到着した。
大きめの建物で、車が止まっている。
普通の一般家庭のようだった。
前澤社長はインターホンを押した。
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