34羽目 「うん。すっごく変な人」
「ほら、早速誰かいるみたいだよ」
「あそこにいるのは……ハエトリグサ!」
サボテンの誘導により病院に着くや否や、わたしのせいでへにょへにょになったハエトリグサの姿を見つけて思わず声を上げた。
「アリスさん!」
わたしの声に、ハエトリグサが嬉しそうな声で返事をしてくれた。
「アリスさん! また来てくれたんですね!」
「うん! あなたも生きてて何より!」
わたしはそう言いながら、嬉しさのあまりハエトリグサに抱きついた。
「わー! ありがとうございます! 僕に出来ることがあれば何でも言ってください!」
「うん! 一緒に野球しよ!」
「はい! 喜んで!」
ハエトリグサはわたしの言葉にすぐにそう答えてくれた。すると遠くから、何かがものすごいスピードで何かが近づいてくる音が聞こえてきた。そして、わたしたちの前に現れたのは……。
「うわっ! な、なんですかこれは!」
ガブは突然現れた巨大な植物の怪物を見て驚いていた。無理もない。わたしだってびっくりしたもの。
「アリス。わざわざ私に魂を吸われに戻ってきてくれたのね」
「なんでまた戻ってきたんですか!」
わたしたちの前に現れたのは、この病院の主、アネモネだった。そしてウウも頭から炎を吹き出しながら今までずっとアネモネと戦っていたような雰囲気を醸し出して後ろからやってきた。
「違うよ! メンバー集めに来たの!」
わたしはアネモネに向かって、はっきりと言った。今は怖いとか言っていられない。そう言えたのは、今のわたしには、仲間がいるから。
「メンバー? 野球でもするつもり?」
「うん! わたしと一緒に野球しようよ! あなたならきっとできるよ! だってこんなに強いんだもん! 絶対ホームラン打てるよ!」
「あの、ちょっと待って下さい! どういうことですか!?」
ウウが変身を解除しながらわたしに詰め寄ってきたので、わたしはウウとアネモネにこれまでの経緯を説明した。すると、
「わかりました。私も協力します。こうなったらどこまででも付き合いましょう」
すぐにそう言ってくれた。
「ウウ……」
「私が協力するからには、負けは許しませんよ」
「ふふふ。素直じゃないわね。アリス、私もその話に乗らせてもらうわ。ずっとここで時計ウサギと戦っているうちになんだか退屈してきてたの。いい気分転換になりそうだわ」
「アネモネ……!」
「ただの気まぐれよ」
「それでもありがとう!」
こうして、なんとアネモネも仲間に加わってくれた。そしてメンバーはわたしを合わせて六人になった。
「じゃあ、早速行きましょうか。後は誰を集めるのかしら」
「それなんだけど、わたし、ちょっと気になってる人がいて……」
「気になってる人? と言いますと?」
ウウが首を傾げる。
「うん。すっごく変な人……っていうか人なのかもちょっと怪しいんだけどね……」
わたしはみんなに、その人――メアリのことを話した。
その後、確かなのかもわからないほどのめちゃくちゃな記憶を何とか手繰り寄せながら歩いて、わたしたちは何とかメアリの家へと辿りついたのだった。
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