33羽目 「あ、これ……」
「ガブ。あなたはどうしてあの時わたしの元に来てくれたの?」
わたしは気になっていたことを尋ねてみる。
「それはもちろん、あなたの犬だからです。あなたに仕えることこそが、私の役目なのです」
「そっか。ありがとう。これからも頼りにしてるね」
わたしは素直に礼を言う。すると、目の前にトゲがたくさん生えていて、触ったら痛そうなサボテンが置かれていることに気づいた。
「あ、これ……」
「これとは酷い! 僕はあなたの叔父だよ!?」
「あ、ごめんなさい。叔父さん」
わたしは目の前にいる叔父を名乗るサボテンに適当に謝った。わたしが付けた足跡がくっきりついてて潰れてるから、間違いない。
「まさかまた会えるなんてね。君に投げられた時は死ぬかと思ったよ」
「ああ、あの時の。すみません、手加減できなかったもので」
「まあいいさ。僕もあの後、反省してね。あのときのようにとげとげしい態度じゃなくて、丸くなることを決意したんだよ。だからあのことはもう怒っていないから安心して欲しい。見た目はトゲトゲのままだけどね」
「あ、はい」
「見たところ、君は今すごく悩んでいる顔をしているね。どうしたんだい?」
「実はですね……」
わたしはこれまであった出来事を話した。すると、
「そんなことが…… それは大変だったね。僕にも協力させて欲しい。サボテンだって野球は出来るさ」
サボテンはそう言ってくれた。とりあえず機嫌を損ねないように笑顔でお礼を言っておこう。
「本当ですか!? ありがとうございます!」
「いいってことさ。叔父として、姪っ子は守ってあげないとね」
「本当に助かります!」
「ああ。どんどん頼ってくれたまえ」
こんなサボテンがどこまで戦力になるのかはともかくとして、これでメンバーが二人集まった。あと六人、メンバーを集めなければ。こうしてわたしたちは、メンバーを集めるために次の場所へと向かうのだった。
「それで、残りのメンバー探しなんですけど……」
「じゃあ、僕と君が出会った病院に行こう。そこならきっと仲間になってくれる植物もいるはずだよ」
「は、はい」
サボテンのそんな提案により、わたしたちは病院に向かうことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます