32羽目 「アリス様!?」

「うわっ!」


 わたしは驚いて思わず声を上げる。咄嗟に周りをキョロキョロと見回す。


「アリス様!?」


 すると不意に後ろから声を掛けられた。振り向くとそこには、わたしと一緒に茶々と戦ってくれた大きなワンちゃんがいた。


「ワンちゃん!」


 わたしは思わず叫んだ。


「はい! 私はアリス様に従う忠実な犬です! ワオーン!」


 大きな声で叫ぶと、その巨体からは想像できないほど軽やかにジャンプしてわたしに飛びついてきた。


「おおっと! ……ふー、びっくりしたぁ。でもびっくり。まさかまた会えるなんて!」


 わたしはそう言いながら、嬉しさに思わず抱きつく。


「はい! 私もアリス様にもう一度お会いできて嬉しいです! 傷を癒すためにここにいたのですが……! まさかまた出会えるなんて!」


 ワンちゃんは尻尾を振りながら、喜びを露にする。


「ねえ、ワンちゃん! わたし、女王陛下と野球で勝負することになったんだけど、一緒に来てくれるかな!?」


 わたしは期待を込めてそう聞いた。


「はい! 喜んで! どこまでだってついて行きます! 命に代えても守らせていただきます! 例えそれが、女王陛下に反旗を翻すことになっても!」


 ワンちゃんはわたしの頼みにすぐにそう言ってくれた! よし、まず一人目のメンバーだ! あ、そういえば。


「ねえワンちゃん。あなた、なんて名前なの?」


 わたしはワンちゃんに質問する。ずっとワンちゃんと呼んできたけど、よく考えたらこの子の名前知らないんだよね。


「はい! 私の名はガブと言います! よろしくお願いいたします!」

「うん! こちらこそよろしくね、ガブ! じゃあ一緒に、他にメンバーになってくれる人を探しに行こう!」

「はい!」


 こうしてわたしとガブは、メンバーを集めるために歩き出したのだった。

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