22羽目 「離してっ……!」
「やった!」
わたしは思わずガッツポーズをした。
「油断しないで下さい!」
ウウが注意してきたが、わたしは笑顔で返す。
「大丈夫だよ。だって、あいつはウウが倒したんだから」
わたしは真っ黒に焦げて動かなくなったアネモネに近付く。
「ねえ、そうでしょう?」
わたしが力なく倒れているアネモネに聞くと、アネモネは何事もなかったかのように立ち上がった。見ると、焦げていたはずの身体もすっかり綺麗な状態に戻っていた。
「え!?」
わたしは驚いて後ずさる。
「残念だったわね」
「ど、どうして生きてるの?」
「私は不死身なのよ」
「そんな……」
「という訳で、死になさい」
アネモネがそう言った瞬間、胸に穴が開くかのような痛みが走った。
「痛い!」
「アリス!」
わたしは胸を押さえ、その場にしゃがみ込む。ウウが遠くで叫ぶ声が聞こえた。胸を見ると、出血していたけど、穴は空いていなかった。だけど、毒のせいなのか、すごく痛くて立ち上がれなかった。
「ふふん。あなたはここで死ぬ運命なのよ」
アネモネはそんなわたしを見て、勝ち誇ったような声を上げた。
「そんなこと……ないもん……」
「強がり言うんじゃないわ」
アネモネはそう言うと、蔓でわたしを縛り上げた。
「きゃあっ!?」
「さっきまで威勢よく吠えていたのはどこの誰なのかしら?」
「わたし……」
「まだそんな口がきけるのね。でも、すぐに黙らせてあげるわ」
アネモネはそう言うと、蔓の縛りを強くした。次第に呼吸が苦しくなる。
「うぅ……」
「苦しい? いい気味だわ」
アネモネは笑い声を上げ、さらに強く締め付けてくる。
「ぐっ……!」
わたしは必死に抵抗するが、どうにも出来なかった。このままだと……。
「離してっ……!」
「諦めが悪いわね」
「うるさい……!」
「いい加減、大人しくしなさい」
アネモネはそう言うと、蔓でわたしを地面に叩き付けた。その衝撃で、わたしは気を失いそうになった。
「巻き戻れええええええ!」
そんな声がそう聞こえた気がしたけども、どんな意味なのかよくわからないまま、わたしの意識は途切れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます