第3話 レイクサイド自転車店
ぼくんち「レイクサイド自転車店」の店舗兼自宅は、街を流れる梓川沿いにある。
3年前に病気で亡くなったとうさんと、パートナーのかあさんが始めた自転車店。
両親を早くに亡くした苦労人のとうさんの夢だったので、張りきって「Riverside Bicycle shop」としたかったのを、長すぎると(笑)かあさんに反対されたらしい。
おれは健康だけが取り柄だと言っていたのに、かあさんと姉ちゃんとぼくを置いて自分だけ逝ってしまい、それから半年後には18歳の老犬・姫子まで召されて……。
おかげでぼくたちは泣いてばかりいる日々を過ごす羽目になったけど、かあさんが継いだ店は繁盛しているし、姉ちゃんが旨い飯を作ってくれるし、いまは、ね。🌞
🚴
ジョギングに出かけたぼくが、まさかのお土産を連れ帰ったものだから、かあさんも姉ちゃんもびっくりしていたけど、そこはやっぱりぼくの家族だよね。(*´ω`*)
ふたりともキャアキャアの大歓迎でさ(笑)やれタオルで拭いてやろうだの、お腹は空いていないかだの、毛布で温めようだの、先にお風呂に入れようだのと大騒ぎ。
二代目の姫子(もう命名済みってことで(笑))がまたこのうえなくいい子でね、ふたりにキャアキャア言われて困りながらも、持ち前の笑顔をふりまいてくれてさ。
🐕
とりあえず保健所や警察に「迷い犬預かり中」の連絡をし、念のために動物病院で診てもらい、お客さんのいる昼間はゲージに入れておき、夜は家で自由にさせ……。
そんなことをしているうちに、かあさんも姉ちゃんもぼくも、情が移るというの? そんな感じになって来て「飼い主さん、見つからない方がいいね」と言ったりして。
二代目の姫子は姫子で早くも家族の自覚が芽生えたらしく、昼間はおとなしくしているけど、夜は物音がすると「ウォン!」と吠え、健気に自分の役を果たそうとし。
獣医師さんの診察だと人間なら90歳の老犬らしいけど、初代同様に賢い子でね、お客さんが善人かどうか動物的勘で見分けるので、この人は……と分かるんだ~。
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