正体がバレた?
三時限目の国語。
担任は俺をよく当ててきた。
最近、よく指名されるような。やや
そうして授業が終わって――昼休み。
てっきり聖がロケットのように飛んで来るかと思ったけど、別の女子が話しかけてきた。
この子は確か『
長い髪を可愛いリボンで
「桜庭さん、ちょっと話があるのですが」
「ん、俺? ここで話せないこと?」
「はい。ここでは話せません。廊下へ行きましょう」
話の内容も気になったからな。
廊下の隅へ向かう。
「それで、話って?」
「はい。私、気づいちゃったんですよね」
「何に……?」
「桜庭さん、VTuberのソロモンでしょ?」
不意にそんなことを言われ、俺はドキッとした。な、なんで分かった。ていうか、この真面目そうな円城がVTuberの配信を見てる!?
ぜんぜんそんな風に見えないのに。
まずいな。バレるわけにはいかない。誤魔化そう。
「ち、違うけど」
「さっき国語の朗読で分かっちゃったんです。あ、これソロモンの声じゃんって」
「……た、たまたまだろう。たまたま。ていうか、俺、ソロモンとか知らないし、何なのソレ」
「
「嘘なものか。俺はその何とかではないよ。もういいだろ」
背を向け、立ち去ろうとすると――
「ふぅん、じゃあ……桜庭さんがソロモンだって、みんなに教えていいんですね?」
「だから違うと何度言えば――む?」
振り向いて否定を続けていると、聖が介入。俺と円城の間に割って入った。
「円城さん、柚菜が困っているでしょ! いい加減にして!」
「誰かと思えば……聖さん」
「な、なによ。なんでそんな目で見るの」
「聖さん、ソロモンに大量の投げ銭をしているでしょう。名前は確か『MAHO』ですよね」
「なッ!! なんで知ってるの!!」
「やっぱり。ということは、桜庭さんがソロモンの可能性は高いですね」
しまった、と聖は慌てる。
おいおい、なにやってんだか。
「ち、違うし! 柚菜とわたしは……そう、付き合ってるの!」
「え!? 女の子同士で?」
「うん! これからデートだってするんだもんっ。だから、邪魔しないで!」
ちょ、聖のヤツなにを言っているんだ。有らぬ誤解を与えるじゃないか、これは断固として抗議してやろうと思ったが、聖は俺の手を引っ張って走り出す。
あ~…、もう。
聖のヤツ、顔が真っ赤じゃないか。
……俺もだけど。
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