心の叫び

 学校を出てケーキ屋へ向かう。

 そのケーキ屋に売っている『プリン』が絶品なんだ。


 徒歩十分程度で到着。



「ついたぞ、大蔵屋」

「うん、ココのプリンがめっちゃ美味いんだよ~」



 二個買ってお店を出た。

 近くの公園へ向かい、ベンチに座る。

 聖が限りなく接近してきたけど、俺は離れた。


「近いって」

「だってプリン渡せないじゃん~」

「普通に渡してくれって」



 プリンとスプーンを受け取る。

 容器の蓋を開け、俺はスプーンでプリンをすくっていく。それを口へ運ぶと、もちもちのトロッとした濃厚な味わいが広がった。


 これは美味い。



「あ、柚菜ってば幸せそうな顔」

「ま、まあな。これは何度食べても美味しい」

「なんだ、食べたことあったんだ」

「有名だからな」



「柚菜、はい、あ~ん♪」



 いきなりスプーンを口元へ運んでくる聖。まさかの“あ~ん”だと……なぜ、女の子同士で。


 けど、聖は引いてくれそうにない。


「……やらなきゃだめか?」

「いいじゃん、女の子同士なんだし」

「そういう問題か。まあいい、一回だけだぞ」

「やった! うん、はい、あ~ん」



 ぱくっとプリンを食べる。

 ……美味しすぎて涙が出る。


 だが、聖の前でクールな自分を崩すわけにはいかない。俺はなるべく感情を押し殺して心の中で喜ぶ。


 美味しいっ、美味しすぎる。聖から、あ~んされて、ちょっと嬉しかったとか絶対に言葉にしないけど、嬉しいっ!!

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