後輩からの告白

「私は一年の『白糸しらいと 亞里紗ありさ』です。桜庭先輩、こんな突然で申し訳ないんですけど……私と付き合って下さいっ!」


 いきなり告白され、俺も聖も固まった。



「「え……ええッ!?」」



 嘘でしょ。

 女の子から告白とか、少なくともリアルでは人生で初めて。ツイッターとかでは、度々そういうDMは来るけど所詮は匿名。顔の見えない相手。


 けれど、今は違う。

 現実だ。


「えっと……その」

「ご、ごめんなさい。突然すぎましたよね。でも、私は本気なんです! 桜庭先輩が好きになっちゃったんです」


 猛烈アタックされ、俺は戸惑う。

 聖はショックを受けて立ち尽くす。

 えっ、ちょっとマテ。なんでそんな泣きそうになっている、聖よ。


 困ったな。

 今は付き合うだとか考えられないし、聖て手一杯。そうだな、遠回しに断るか。



「えっと、その……俺は今、やりたいことが多いから。でも、気持ちは嬉しいよ」

「分かりました、では、お友達から!」



 切り替え速いな。

 まるで聖のようだ。


「わ、分かった。ラインだけは交換するから」

「は、はいっ! 嬉しいっ」


 ライン交換だけ済ませると、白糸は軽快に去っていく。あれで満足してくれるなら、まあいいか。


 歩き出そうとすると聖が抱きついてくる。……ちょぉ!



「柚菜、ああいう元気な子がいいの?」

「どういう意味だよ。ただの知り合いになっただけだ」

「じゃあ、わたしは?」


「え……」


「わたしと柚菜は友達? それとも、それ以上の関係?」



 それ以上の関係ってなんだ!?

 女の子同士でそれ以上って……どういうこと。


 ええい、これ以上は面倒は御免だ。



「聖は、その……友達だ」

「う、うん! 今は友達でいいっ。けど、いつか、その……えへへ」


「なんだ不気味だな。行くぞ」



 機嫌が直ったようだし、もういいか。俺は自宅へ歩き出す。聖もトコトコとついてくる。その表情はまるで向日葵ひまわりのようだった。

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