第11話 確滅の巫女<バッファー>
固有武装を装備することでステータス画面に自身へ「ある職業」が設定される。
その職業はジョブと呼ばれる。
パーティーを組む際に防御役、攻撃役、回復役、支援役など存在するが、主な活用方法はジョブを分類することで、効率的にパーティーを組みやすくするデバイス側の配慮である。
ちなみに茉森はユニークジョブ<確滅の巫女>と表示され、本来の職業そのままだった。
家系の職業なので当たり前といえば当たり前なのだが、プレイヤーのステータスとして書かれると、改めてよく分からないジョブだ。
だがロールという場所に<バッファー>との記載がある。
(ユニークは珍しいってことかな? フィールド内で使用できるスキルから支援する役割ってことか)
元々確滅の巫女は術により、己を強化して邪を祓ってきた。
プレイヤー化したことでより、術という体系はより明確な「スキル」として影響してくるのだろう。
「俺は無職だからな、無職には武装もスキルも必要ないだろうさ……ふふふ」
茉森の心を読んだかのように静かに目を開き、零護は自身のステータス欄のジョブ<無職>を改めて表示させながら零護はうっすらと笑った。
「き、きかいのAIが決定したジョブ名やステータスに縛られることはないよ、ほら、零ちゃんは<名もなき流派>の技でフィールド内でもモンスター倒せるし!」
二人はおかげでレベルもクラス内で一番の12レベルまで上昇していた。
「まあ、そうなんだがな……」
(ああ、専用の武器やジョブ名が欲しかった顔してる、こういうところは子供の時のままだ)
子供っぽいところも可愛いなあと思いつつ、茉森は目のハイライトが普段よりも少しばかり暗いことで零護のザンネン度を測っていた。
「じゃあ、元気を出すために今日は私がお弁当を作ってきたから、一緒にお昼食べよう」
フィールド突入授業が終わり、これから昼休みだったので茉森は落ち込む零護に出来る限り明るく声をかけた。
「お弁当——!」
目の色を変えて零護が立ち上がる。
「さあさあ、マモリちゃんお手製料理なんて、そう簡単に食べられないぞ」
(毎日、作って誘うから、零ちゃんの身体は私が準備した食材で作られ、成長していくことになるけど)
内心、ほくそ笑みながら茉森は無理やり零護を机から立ち上がらせる。
零護をどうやってお昼に誘うものか悩んでいたところだが、相手が落ち込んでいたので緊張せずに誘えたのは運がいいことこの上ない。
(なんか落ち込んでる零ちゃんもいいなあ)
口元をだらしなく緩ませ、茉森はお弁当を持って零護と共に教室を出ていった。
確か中庭が開いていたので、そこで食べる算段だ。
(次の授業についてもどうするか話さないとだしね)
固有武装を手に入れたプレイヤー候補生たちへ、新たな授業の連絡は入っている。
プレイヤー候補生としては少々面倒ごとの為、出来れば相談したかった案件である。
肩を落とした零護と対象的にうきうきとした足取りの茉森が教室を後にした時、後を追う影があったことに気が付く者はいなかった。
──────あとがき──────
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