第10話 ゼロのステータスエラー
教室に戻ると生徒たちは自分たちが手に入れた武装をまじまじと見つめていた。
初めてのフィールド戦だったがパーティーを組んだことで新たにできた友人たちと初々しい雑談をしたりと、クラスの中は華やいでいた。
学園は教育機関とは違い、プレイヤー志望の様々な年齢層の子供たちが生活しているが、この高等部でも新たな生活が始まる期待が、クラス中をキラキラと輝かせていた。
一人はプレイヤー候補生からプレイヤーとなり、強敵を倒して富と名声を求める者。
またある一人はフィールド化した場所へ何度も足を運び、フィールド内のみならず現実にも作用するアイテムを手にしたい者。
そしてあるものは、ただ戦いの中で自己を主張したい者。
その中でも茉森は幼馴染を落としたい一心で、生活している。
高校生としては普通だが、学園に通うプレイヤーとしては異質の存在だった。
そしてその意中の彼はただ静かに椅子に座りながら瞑想している少年である。
零護その人だ。
「零ちゃん、そんなに気落ちしないで、ね」
「してない」
茉森は支給されていたセーラー服に戻り、零護の後ろの席で彼の背中に語り掛けた。零護も教室に戻るなり、鍛え抜かれた上半身から学ラン姿に戻っている。
彼女自身は武装系統「拳」の茉森専用固有装備を手に入れていた。
ベースは指ぬきグローブのようであり、起動するとピンクと白の光輪が拳の周囲を巡る。
茉森自身はもっと可愛いのが良かったが、零護と同じ体術スタイルで戦えることが嬉しかったので、専用武器が拳なのに納得していた。
「うん、で、でも、まあ、ね。みんなも大きな怪我なく武装が手に入って良かったよね」
クラス内を見るとオーソドックスな剣や槍、銃など手にしているクラスメイトもいる。これらは自身のステータスや生きざまに反映して選ばれるので、茉森が拳スタイルなのもそれほど零護への愛が大きかった故であろうと自分で分析している。
「そうだな」
零護のテンションに変化はないが、これはいつも冷静な語り口調だからだ。零護は昔から自分の感情を表に出さないようにしている節がある。
(私から見ればわかる。これは落ち込んでいる。しかも物凄く)
零護が落ち込んでいる理由は二つある。
一つは零護専用の固有武装が宝箱から現れたと思ったら、触れた瞬間に消滅したことだ。
次に職業=ジョブが設定されなかったことだ。
──────あとがき──────
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