恋の話

そんなこんなで連れてこられたのは雰囲気の良いカフェだった。ここは先輩のお気に入りのお店らしくマスターは快く私達を迎えてくれた。先輩は窓際の席に着くと目を輝かせて言った。

「ここのパフェは上手いんだ。だから食べて欲しくてな。俺のおすすめはいちごパフェだ」

「そうなんですか。ではそれでお願いします」

私がそういうと先輩は嬉しそうに笑いいちごパフェを2つ注文していた。注文した物がくるまで先輩は私に様々な質問をしてきた。例えば……

「なぁ、お前好きなもんなにかあるのか?」とか

「好きな色はなんだ?」等など私はその質問に答えていった。私が全ての質問に答え終わると美味しそうないちごパフェが運ばれてきた。真っ赤ないちごに軽めの生クリーム、そしていちごジャム

とクリームがサンドされた見た目のパフェに私は釘付けになり鞄の中から携帯を取り出すと写真を撮った。その様子を見ていた先輩が私に連絡先を聞いてきた。

「連絡先交換しよう。危ない目にあったときに俺がいつでも助けに行けるように」

「嫌です。危ない目にあうことなんて滅多にありませんから」

そう断っても先輩はなかなか諦めてくれなくてパフェを食べている時も食べ終わったあともじっとこちらを見つめてきたので私は仕方なく先輩と連絡先を交換することにした。犬みたいで可愛いと思ったのはここだけの秘密だ。そして外が暗くなってきたので私達は家に帰ることになった。自分のパフェの代金は払おうと思っていたのに先輩がお礼だからと言って譲らなかったので先輩にはらってもらうことにした。

「先輩ありがとうございます。」

「こちらこそ楽しい時間だった。もう暗いから家まで送ってく」

「いえ、大丈夫です」

そう断ったが先輩は譲らず結局送って貰うことになり家に着いた時には遅い時間になっていた。その日から毎日先輩から連絡が届くようになった。何をしているのか、困ったことはないかなど最初は迷惑だと思っていたはずなのにいつの間にか先輩からの連絡を心待ちにしている自分がいることに驚いている。そして私と先輩の距離は縮まっていった。それをよく思わない人もいるということもいるということを私はすっかり忘れていた。


それから数日たったある日のこと私は先輩に言い寄っていた名前も知らない子から呼び出しを受けた。瑠衣はたまたまいなくて私が校舎裏に行くとその子の他に男の先輩もいて私はこれはまずいかもと思っているとその子が私に話しかけてきた。

「貴女が茉莉っていうの? 私のことはもちろん知ってるよね?」

「いえ、知りません。悠貴先輩に振られたことぐらいしか」

そう言うとその子は顔を真っ赤にして怒鳴ってきた。

「あんたね、悠貴先輩に色目使ってんじゃねーよ。あんたみたいな地味な子あの人とは釣り合わないの! だから先輩からさっさと手を引きなさい!」

「嫌です。先輩とは仲良くなりましたし、これからも仲良くしていきたいと思ってます」

「あんたたちこんな子ボコボコにしてやってってどうしたの? そんな青い顔して」

「悠貴が相手だと知ってたら断ってたよ。あいつ怒らすと怖いんだよね……しかも気になる子いるって言ってたし……」

その言葉を聞いた瞬間私は少し寂しいと思ってしまった。そんなこと私が思う必要ないのに何故かと思って考えていた私はその子が私に襲いかかってきているのに反応が少し遅れ、殴られると思って目を瞑った。

「茉莉!」

その呼びかけに答えるように目を開けると私はいつの間にか先輩に抱きしめられていて先輩の頬は赤くなっていた。たぶん先輩に言い寄っていた子が先輩を殴ってしまったのだろう。先輩は一旦私を離すとその子を睨みつけ、凄い形相だった。

「莉里亜、俺言ったよな? お前は俺の表面上しか見てないから付き合えないって。あの後も付き合えって言ってくるから付き合えないって何度も言ってるのにいつになったらわかってくれるんだ?」

「だって、ずっと好きだったからそんな簡単に諦められるわけないじゃん! そんな子じゃなく私を見てよ!!」

その子は莉里亜さんというらしく悲痛な声をあげていた。それに対して先輩は何かを言うのを迷っているようだった。先輩の顔は少し赤くなっていて莉里亜さんに視線を向けた。

「莉里亜、悪い。お前の気持ちには答えられない

ごめんな」

そう言うと今度は私の方に向き直った。真剣な顔をしていた。

「茉莉ちょっと来い!」

「えっ?」

「いいから来い!」

そう言い戸惑う私を引っ張っていった。その後私たちが付き合ったかどうかは秘密だ。だが、私はとても幸せだ。

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秘密の恋 星塚莉乃 @americancurl0601

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