第8話

 就職活動においても、彼らは当然地元の企業を選択した。地元への貢献を考えれば当然であった。私から異論はなかった。彼らは常に正しかった。

 

 入社二年目で、私は海外へ出張することになった。世界を相手に取引する企業である。若手のうちに海外経験を積んで成長させようという方針だった。そして彼らは海外出張を取り消させた。海外は危険だからだ。その際にややあって、国内限定要員になることで変化した今後のキャリアの見通しを、上司は私に忠告した。私は了承した。神は絶対者だからだ。彼らは常に正しかった。今後の見通しを彼らに話すと、彼らは会社に電話をかけた。私は止めなかった。彼らは常に正しかった。


 そんな折、私は友達の紹介でひとと交際し始めた。明るく優しいひとであった。こんなひとと交際できるほどにまで、この数年で私はひとに似せることができたのだ。とても感慨深かった。将来の話も次第にするようになった。

 やがて私たちの間で話がまとまり、互いをつながりのあるひとびとに紹介する場を設けることになった。相手方に会ってみると、そのひと自身を写したような朗らかなひとびとで、紹介はつつがなく進んでいった。同様に私も、日を見て神に奏上した。そして別れた。


 彼らは常に正しかった。結婚前の二人が旅行するなど非常識だと。貞淑な相手を見繕うのだと宣った。また郷里でない場所に拠点を設けるなどとんでもないのだと言い、次のひとにはそれを求めよ、とも言った。

 私たちは別れた。彼らは常に正しかった。神に間違いなどないのだから。彼らは常に正しかった……

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