第十一話 告白

私は名前を呼ばれて見上げていた視線を佐藤くんに向けた。


佐藤くんの顔はイルミネーションに照らされてはっきりと見えた。真剣な顔で私の目を見つめる。


「佐藤くん?」


私も佐藤くんの目を見る。


「河井さん……僕は河井さんのことがずっと好きでした。入学式で一目惚れして、それからずっと……」


佐藤くんは私の目をまっすぐ見つめながら言った。足が少し震えてるのが見えた。勇気を振り絞ってくれたのが分かる。


「だから僕と付き合ってください!」


佐藤くんは声を震わせながら私に想いを告げてくれた。


さっきまで聞こえていた街ゆく人たちの雑踏が私の耳には届かなくなり、水面が凪ぐように静まり返った。


私は声を出すことが出来なかった。佐藤くんの想いになんて答えればいいか言葉を探す。


そのとき突然クリスマスツリーの上についている星がパッと明るく光った。サプライズで不定期に光るようになってたみたいだ。


その明かりが私たちのいる場所を照らす。


『あぁそっか、私の想いを告げるために特別な言葉はいらないんだ。ただ素直な言葉で佐藤くんが伝えてくれたみたいに』


私は言葉を出すために息を吸う。緊張で足が震える。精いっぱいの笑顔を作って私は声を出す。


「私も佐藤くんが好きです……私なんかでよかったらよろしくお願いします」


声が震える。でもちゃんと言えた。


私の想いは佐藤くんにちゃんと告げられた。

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