第五話 プレゼント選び

「顔大丈夫だったかな?頬緩んでなかったかな?」


私は教室を出てすぐ顔に両手を当てた。顔が熱い。蛇口のところにある鏡を見ると顔が真っ赤になっている。


「不自然じゃなかったかな?ちゃんと話せてたかな?」


さっきのことを思い出すと心臓がバクバクした。


「あぁもう……佐藤くんの笑顔、かっこよすぎるよ~。あんな笑顔で見つめられたら好きになっちゃうよ……」


私は小さな声でつぶやいた。と同時に楽しみな気持ちが胸の中から飛び出てきて顔を上げた。


「明後日、楽しみだな~」


私は軽い足取りで学校を出た。


私は帰り道スマホのカレンダーを見たときにふと気が付いた。


「あれ?この日ってクリスマスだよね。もしかしてこれって……」


私は自分の考えを口にはしなかった。だけど……


「期待してもいい……のかな」


私は持っているスマホを額に当てて顔を隠しながらつぶやいた。


「そうだ!クリスマスならプレゼント買わなくちゃ!」


私は急いで駅の中にある雑貨屋さんに向かった。


「う~ん。何がいいかな?佐藤君が欲しいものなんて分からないし……」


私は雑貨屋さんの中で何を買おうか迷っていた。


「何かお探しですか?」


突然店員さんに話しかけられてびっくりしてしまった。


「ふぇ?!あっ!えっと……クリスマスに好きな人にプレゼントを渡したいんですけど何を渡せばいいか分からなくて」


私は店員さんに事情を話した。


「あら!クリスマスプレゼントですか!」


店員さんは優しい笑顔を浮かべてそう言い、話を続けた。


「そうですね〜定番なのですと今の時期に合わせてマフラーや手ぶくろといったところでしょうか」


「マフラー、手ぶくろ……」


その場にある商品を付けている佐藤くんを想像して笑みがこぼれた。


「ありがとうございます!プレゼントはマフラーにしようと思います!」


私は店員さんにそう言った。


「お役に立てて良かったです!ではお決まりになりましたらあちらでお会計を致しますね」


店員さんはそう言ってレジの方へと歩いていった。


「ふふっ、どれがいいかな?」


マフラーとひと括りに言ってもいろんな模様がある。どれがいいかなと一通り見ていると一つの柄が目に止まった。


「これ!佐藤くんに似合いそう!」


私はそのマフラーを手にとってレジへと向かった。


「お決まりになりましたか?ではこちらプレゼント用にしっかりラッピングさせていただきますね!」


店員さんはそう言うと慣れた手付きでかわいい袋にマフラーを包んでくれた。包んだ袋を私に渡すときに


「頑張ってくださいね」


と一言添えてくれた。


私はありがとうございますと頭を下げてそのお店を出た。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る