第二話 ためらいの時間
「はぁ〜あっぶない……もう少しで河井さんにバレるところだった」
僕は教室でしたやり取りを思い出しながら駅ビルの中を歩いていた。
「それにしてもなんでいきなり昨日のことなんか聞いてきたんだろう?あっ!もしかして昨日河井さんにあげるためのプレゼントを買ったの見られてたんじゃ……あぁ~~どうしよう……ちゃんと周りは確認したはずなのに」
僕はブツブツと独り言を言いながら頭を抱えた。
ずっと片思いしてた河井さんと同じクラスになれて、今年こそ告白しようと勇気を出したのにそんなところ見られてたなんて恥ずかしすぎる。
「はぁ……。っていうか肝心なこと忘れてた!クリスマスの日に河井さんの予定が空いてるかどうか確認してなかった!どうしよう……今から聞きに行く?いや、そんなことしたら不自然だし、電話で……ってそんなのしたことない!一応個人leinは持ってるからこれで……はっ!」
僕はそんなことを口にしながら同じ場所をウロウロとさまよっているのに気がついた。周りから変な目で見られていたので、恥ずかしくなり足早にその場を後にした。
『とりあえず電車の中で考えよう』
ショッピングセンターのある場所を抜け、駅のホームへと向かった。
僕は電車に乗り込み、河井さんに送るための言葉を考えた。
『う〜ん……なんて送ろう?クリスマスの日空いてる?いや、クリスマスを強調すると引かれるかもしれない……今週の日曜空いてる?というかそもそもいきなり誘うなんてだめなのか?いや、でも……プレゼント買っちゃったし、告白するって決めたし……』
思考が頭の中でグルグルと廻り続けている。気づけば電車は僕の家がある駅に付いていた。
「えっ?!もう着いたの?全然考えられてないんだけど。っていうか降りないと!」
僕は荷物をまとめて急いで電車を降りた。
家に帰ってからも何度も送信ボタンを押すのをためらって書いては消しを繰り返した。
スマホの時間を見ると九時を過ぎていた。
「あぁーどうしよう。もうシンプルに誘うのが一番だよな。うん、よし!じゃあこれで」
僕は送信ボタンを押した。
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