砂糖のついた恋は甘くてかわいい
神木駿
第一話 隠し事
クリスマスが今週の日曜に迫った木曜日の放課後。帰り支度をしていると
「ねえ、佐藤くん……」
隣の席の佐藤くんに私は話しかけた。
彼は不思議そうに
ん?と首をかしげた。
「えっと……その……昨日のことなんだけど……隠してることない?」
昨日、佐藤くんがショッピングセンターで女の子が使いそうなネックレスを選んでいたのを見てしまった。
もうすぐクリスマスだから、誰かに渡すプレゼントだと思うんだけど誰に渡すのか気になってしまった。
去年は違うクラスで全く接点がなかったから何も出来なかったけど、今年は同じクラス。しかもクラス替えをしてからずっと隣の席だ。
今年こそ佐藤くんに告白したいけど、佐藤くんに好きな人がいたら迷惑かもしれない。
そんなことを思っていると
「河井さんこそ何か隠してない?」
と佐藤くんに聞かれた。
質問に質問で返されてびっくりしてしまったから
「ふぇ?!わ……私が?佐藤くんにかくしてること!?……な…無いよ!うん。隠してることなんて……」
と私は顔を反らしてそう言った。
「ほんとうかなぁ?河井さん、顔真っ赤になってるよ?」
と佐藤くんは私の顔を覗き込み、少しいじわるな顔をした。
私は佐藤くんの顔がすぐ近くに来たので
「まっ……まって、恥ずかしいからそんなに見ないで……」
と顔を手で抑えながら言った。
「ご……ごめん」
佐藤くんはすぐに顔を反らして謝った。
「うぅ……もう、佐藤くんのいじわる」
私は小声でそう言った。
佐藤くんは顔を離してすぐにそそくさと荷物をまとめて
「じゃ……じゃあ僕は帰るね」
と言って教室を後にした。
「はぁ……佐藤くん……やっぱりカッコいいよ〜。クリスマス……誰と過ごすんだろう?あんなにかわいいアクセサリーを選んでもらえるなんて……ずるい……」
私は佐藤くんがさっきまでいた机を見ながらそっと呟いた。
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