第11話 これがバトルパフォーマンス
何が起こったのか、試合を観ているリオートには理解できなかった。
レヴリッツ曰く、カガリは殺意を及第点まで制御できたらしい。そもそも殺気という存在すら彼は知らなかったのだが。
傍目には何も変わっていないように見える。ただしレヴリッツが展開した、殺気に反応するという無数の幻影は動かなかった。
どうしても理解できなかったリオートは、横でレヴリッツを応援しているヨミに尋ねてみる。
「なあ、お前……ヨミだっけか。アイツって本当に何者なんだ?」
「うん? レヴはレヴだよ。すごく強いの」
「ああ、お前に聞いた俺が馬鹿だったな……」
彼は呆れつつも、視界の中で戦う黒髪の少年について考える。
レヴリッツ・シルヴァ。彼の正体を探るべきか否か。
悩みの末、彼は深く考えずに眼前のパフォーマンスに集中することにした。
ー----
静かに、されど熱烈に。刃が舞い踊る。
雷の刀身と銀の短刀が斬り結ぶ。
霹靂の轟き、鋼の打ち合い。闘いの音がひたすらに響くバトルフィールドで、両者は間合いを見極める。
斬り結んだ末、カガリは後退。地面の感触をたしかめ、魔力を籠める。
足元に目印をつけた。
「
レヴリッツが刀と鞘をぶつけて打ち鳴らす。雷が閃き、まるで狼の唸りのような轟音が響き渡る。
鞘に刀身の雷が伝播し、さながら二刀流のような体勢となった。
一方で、カガリは攻めあぐねる。
殺気を遮断した今、まるで戦意が湧かないので間合いが掴みづらい。
対して、魅力的なパフォーマンスをするためにはどうすべきかを考え、視野を広く持つこともできるようになった。これが普段からレヴリッツが見ている世界なのだ。
「僕がこの体勢で闘うのは珍しいよ。よく見て覚えておくといい」
「別にあんたのスタイルなんて興味ないし。ほら、かかってきなよ」
煽り口上。本気の戦いであれば、決して試合の最中に相手を煽ったりはしない。
だが、今のカガリは不思議と自分が不利になるような行動を取ってしまう。それが観ていて『楽しい』と思える闘いになると判断したから。
「では、参る!」
刹那、レヴリッツが足を運ぶ。
無数の幻影の間を縫って彼の雷が躍動。上段から斬撃、正面から突き。カガリは相手の懐へ飛び込むようにして前転し、華麗な足捌きで下方から蹴りを放つ。
二刀となれば、一刀よりも小回りが効かない。レヴリッツの隙を狙って接近。
「っと……!」
レヴリッツは足蹴りを身体を大きく逸らして回避し、後退。
その動きをカガリは待っていた。
一般的にバトルパフォーマンス界隈では『伏線』と呼ばれるトラップを仕掛けておいた地点へ、彼が後退する。先程目印をつけておいた箇所だ。
「罠開示、終わりね!」
カガリがパチンと指を鳴らすと、レヴリッツが着地した足元から魔力の奔流が発生。暗黒の針が地面から勢いよく射出し、彼の足裏を狙う。
躱せない、あの体勢ならば。
カガリは勝利を確信し、そして──
「……え?」
レヴリッツが消えた。彼の姿は暗黒の針に触れる直前、雷糸の束となって霧散。
同時に激しい光が彼女の背後から生じた。
咄嗟に振り返った視界の先、そこには……
「ここは殺意なき戦場。故に、気の探知も不可能。
だから目に見えるものだけを信じ、なおかつ疑うこと。僕の姿にはわずかに綻びがあったはずだ。幻影を無数に生み出したその瞬間から、僕の本体は潜伏して消えていた。
君が今まで闘っていたのは、僕の幻影だ」
すさまじい質量の雷を帯電した、レヴリッツの姿があった。
天を覆い尽くさんばかりの雷雲。雷の全てが彼の一刀に集約している。
不可避の斬撃、
──《
鋭く振るわれた神速の一刀がカガリを斬り裂いた。
必滅。雷の裁きを回避できる者は存在しない。
竜の心臓すらも食い殺す強烈な雷爪。
暗雲が払われると共に、セーフティ装置が作動。
カガリは音もなくその場へ倒れ込んだ。
──試合終了
「そう、これが……バトルパフォーマンス……」
「ああ。ようやく君もわかってくれたみたいだね」
レヴリッツは高々と刀を掲げた。
すると、固唾を呑んで見守っていた観客たちが一斉に歓声を上げる。
今までの静寂を突き破らんばかりの興奮の声。
巧みなレヴリッツの戦術と、あまりにレベルの高い両者のバトルに視聴者は賛辞を呈する。
何が起こったのかもよくわからないが、観ていて楽しいもの。ひたすらにアツくなれるもの。
それがバトルパフォーマンスだった。
そして、敗者は思わずこう言ってしまうのだ。
「あはは……あたしの負け。
でも、なんか……悪くないかも。次は勝つんだからね!」
また、強者はこう返してしまうのだ。
「いいや、次も僕が勝つ!」
こうして、栄光に満ちた新人杯は幕を閉じた。
*****
【バトルパフォーマー】BP新人スレ Part59【新人杯】
911:名無しさん ID:cVMJB9hmb
どりゃあああああああエビ最強!!
912:名無しさん ID:UnYyRaM4M
エビ優勝どりゃあああああああああああ
913:名無しさん ID:Kde3Uqivy
どりゃあああああああああああ
これがFランの「努力」なわけ
才能に甘んじて怠けてるお前らとエビは違うんだよね😤
917:名無しさん ID:gTszd6Fhs
珍しい読み合い勝負だったな
何が起きてたのかよく分からんがおもろかった
918:名無しさん ID:JFb3VmEZn
新人杯よかったな
解説席の天丼がニヤけてるのはきもかったけど🥺
(*天丼……バトルパフォーマー協会CEOエジェティル・クラーラクト)
922:名無しさん ID:gwU2HKKoT
これでエビに厄介アンチが生まれないといいけどな
928:名無しさん ID:fMn2QfAns
>>922
むしろファン増えるだろ
アンチ生まれる要素あったか?
929:名無しさん ID:Lff6iHoiC
エビより強い奴がいるとしたら今回参加してない面子か
参加してない奴ら全く強そうなイメージないけど
931:名無しさん ID:9WmyQydsP
>>928
他のPのファンが負けた腹いせに荒らさないかって話
まあ推しが負けた相手に粘着する厄介勢がいるなんて日常茶飯事だが
932:名無しさん ID:rb63LdzTR
カガリ不正解
でも男に媚びないのは高評価😍🦄
935:名無しさん ID:C4yHuBdi5
どりゃああエビ最強!
陰キャいくわ
939:名無しさん ID:UsJt4RDem
おい!ケビンが赤猫の熱愛暴露してるから来い!🐴
942:名無しさん ID:CT4gUs973
レヴリッツさん叩いてたアンチはごめんなさいしような
945:名無しさん ID:btbnk8yUS
いくら勝とうがFランの事実は変わらないんだよなあ・・・🤗
所詮アマチュアでイキってるだけの雑魚🤗
才能の世界のプロ級じゃ通用しない
946:名無しさん ID:QPd3uoxv7
総合適正Ⅽ以下でマスターっていたっけ?
955:名無しさん ID:7tr9RewJg
>>946
いない
マスターは適正Bのノルンが最低
プロだと適正Eはいるけど成績はgm
そもそもFとか普通の人間なら検出されないしエビが特殊なだけです
956:名無しさん ID:WeJsti3NW
てか天井は今配信してるし新人杯見てないのな
新人杯に被せて同接18万とか強すぎる😨
960:名無しさん ID:24xfVx6pd
マスPは新人とか興味ないだろ
特に天井とかマスター連中にすら興味ないし
961:名無しさん ID:Se47hEsGC
今回エビが優勝したの逆に負担になりそう
変に期待寄せられて昇格した時挫折しないと良いが
964:名無しさん ID:u64eamgmj
(三・¥・三)「僕が負ける訳ないんですわww」
967:名無しさん ID:uZXpA6C8m
エビは期待なんてどうでもいいんだよ
自分が楽しめるかどうか
つまりお前らと違って勝ち組ww
968:名無しさん ID:Mw5G3qATk
カガリたその試合今までつまらんかったけど
今回はおもろかったです🤗
971:名無しさん ID:XC3jEghLh
はい
────
レヴリッツ・シルヴァ@revu_battlep
新人杯優勝しましたー!!
闘ってくれたみなさんに感謝!応援してくれたみなさんに感謝!
これからも常勝無敗でいくので応援よろしく!
────
974:名無しさん ID:RVP8gMtcw
エビ君喜んでるね
いつ挫折するかな😎
977:名無しさん ID:kyDCg4TXK
>>974
あの
そろそろケビンに狩られそうです・・・
980:名無しさん ID:KyXM9Jkao
(三^¥^三)「応援よろしく!」
スレ民がエビを応援しています😜
981:名無しさん ID:Vr6NPqNDC
カスがリプしてる
知り合いなのか?
────
ペリシュッシュ・メフリオン@peripe_battlep
返信先:@revu_batttlep
優勝おめでとうございます!!㊗️
観戦しててめっちゃおもしろかったし興奮しました!
応援するぞー!👍
────
983:名無しさん ID:bRPcfu59c
他のPの反応
一部だけど
────
リオート@hyorio_battlep
返信先:@revu_batttlep
負けたのは悔しかったけど、闘ってて楽しかった
優勝おめでとう
今度は俺が勝つ
────
ヨミ・シャドヨミ@yomimi_battlep
返信先:@revu_batttlep
レヴおめでとう!!!
勝って嬉しい!これからも推してくぞー!
────
ヨミ完全に視聴者目線で草
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