第16話 偶然の発見

「うん?何の訓練?」

サトネがルナに聞いた。

「もちろん武術訓練だよ。そして基本的な魔法も教えてあげる」

「あなた魔法もできるの?」

フジヒロが珍しそうに言った。

「今はできないけど、昔の基本的なことは勉強はしたよ。

アポロン、君も参加しなければならないよ」

「え?私も?」

フジヒロがいやそうな顔をして言った。

「お前もまだ神聖魔力量が少ないから魔法も一緒に使えなければならない」

「わかった」

フジヒロは参加するのは面倒だったが、ルナの言葉が間違っていなかったので頷いた。



彼らが再びミニドラゴンの遺体を見に行った時は、後処理班が全部持って行ってしまった後だった。

「もっと自慢したかったのに」

サトネが悔しがって言った。

「十分に素敵な姿を見たから大丈夫」

惜しむサトネをフジヒロが慰めてくれた。

「それでは私たちもまた戻ろうか。 まだ昼食も食べてないのに。

お金も入ってきたから記念するのを兼ねて高いもの食べよう!」

ルナはライセンスカードに入ったお金を見せながら話した。

「よし!私は肉が食べたい」

サトネが高いものを食べようと言うと、目を明かして言った。

「肉は夕食にしよう。お昼ご飯は私がおいしいところに連れて行ってあげる!」

ルナは意気揚々と話した。



都心に戻ってきた彼らはルナについて食堂に向かった。

「じゃーん!ここが私が食べた一番美味しい所だよ!」

ルナは誇らしげに言った。

「こんなにすべて崩れていく建物が?」

実際に建物は、少しでも叩けば崩れ落ちそうに立っているようだった。

そして、奥深い場所に隠されたような雰囲気は不安を一層高めた。

「ここ以外の場所がいいと思う。 そうじゃない、サトネ?」

フジヒロはサトネに助けを求める目で見ていたが、サトネはすでにルナの手に引かれて店内に入って持っているところだった。



フジヒロもやむを得ずついてくることになったが、店内の様子は思ったよりきれいな姿をしていた。

まるで何十年、いや何百年前に開業した頃から一度も修理していないような姿だろうと思っていた彼の考えとは全く違う様子をしていた。

「店内は思ったよりきれいだね」

フジヒロが思ったより安心して座った。

「味も本当においしい。 もう看板メニューで注文した!」

「看板メニューだって? この店の看板を考えると心細いな」

内部は思ったよりきれいだったが、食べ物に対する確信はまだなかった。



注文をしてから幾らもたたないうちに食べ物が出てきた。

「ご注文の料理でございます」

フジヒロの前に置かれた料理は、たいへん見慣れた雰囲気を醸し出した。

「ただのトンカツじゃないの」

おいしく揚げたトンカツが彼の目の前にあった。

「何を言っているの? これはこの店で初めて発明した豚肉の天ぷらだよ」

「それがトンカツだ」

フジヒロが たべものを 一口 くわえながら いった。

「味も同じだね」

久しぶりにトンカツを食べると、フジヒロは日本での時のことを思い出した。

もちろん、いい思い出ではなかったので、よく考えてはいなかった。



久しぶりにトンカツを食べてみたサトネも、同じ雰囲気だった。

サトネは急いで食べながら、「もっと食べられるか」と聞くと、ルナが追加で食べ物を注文してくれた。

「お嬢さんがとてもよく召し上がるようでこれはサービスです」

注文した料理と店員は、他の料理ももう少し持ってきた。

「これもおいしい。 アポロンも食べてみて」



フジヒロは自分の前に置かれた新しい食べ物を見て、また当惑するしかなかった。

「これはまたカレーじゃない? 転生者がここにいるんじゃないの?」

「うん? まあ, そうかもしれないね。 ここでは、ここでだけ売っている読者の食べ物だけ販売している。

そして私たちが今曖昧な時間帯に来たからで 普段は並んで食べるお店だよ」

「ほんとう?」

「うん、ここのレシピは非公開なんだけど、料理の材料も何が使われているのか全然分からない。

他の食堂で豚肉の天ぷらを真似したことはあるけど、ここについてくるほどおいしいところもないよね」

ルナはカレーを食べながら言った。

「あっ、全部食べてしまった。 新しく注文してくれる?」



「いや、大丈夫だ。そういえば訓練するって言ったのにここでこんなに時間を過ごしてもいいの?」

「まあ、まだ大丈夫」

サトネは顔色を伺って、素早く残り物を食べてしまった。

「私も食べたよ」

「何か僕のせいで早く食べた気がする。 じゃ行こうか?」

サトネもご飯を食べ終わるとみんな立ち上がった。



食事をすませた彼らは勘定をした。

フジヒロは計算の過程で一つ質問した。

「もし日本だと知っていますか?」

「え? 日本ですって? よく分かりません」

「ああ、それなら結構です。 そこでここと似たような食べ物を食べたことがあるからです」

「あ、そういえば料理の秘訣書に『日本を恋しがって』と書かれた文句があったようだが。 おじいさんはご存知だったかもしれませんね」

フジヒロは転生者がいても、ずいぶん前のことであることを知って食堂から出てきた。

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