第10話 後世の神

「起きろ!」

彼にある声が聞こえた。

すぐに何かが私のほおを殴るのも感じられた。

「早く起きろ!」

「どうしたの」

朦朧とした状態の彼が目を開けて言った。

目を開けた彼に、一人の少女の姿がぼやけて見えた。

「サトネ?お前か?」

彼の目に涙がにじんだ。

「なんで泣いてるの?」

彼の目に見える少女が言った。

徐々に視力が回復し彼は目の前に見えるのが、自分が愛した女性ではないことが分かった。

彼の目に見えるのは夜空のような青い髪の少女がいた。



「死んだのか」

急に知らない場所にいる彼が言った。

「何を言っているの?」

彼の目の前に見える少女が言った。

「じゃあ、お前は誰?」

少女の姿を見た彼が理解できないというように不思議な顔をした。



「私の名前はルナ! お前の助力者だろう!」

少女が生き生きとした声で話した。

「助力者だなんてそれはまたどういうこと?

そしてここはどこ?

確かに私は私の家にいたのに」

突然彼の記憶の中からとても強い光が浮かび上がった。

「まさかその光のせいで?」

「うん?何を言ってるのかよくわからないけど、ここは下界だよ」

「下界?それはまたどういう意味?」

頭痛を感じた彼が頭をつかみながら言った。

「下界と言えば当然、神ではなく存在たちが住む空間だ。

全然何も知らないんじゃないの?」

平凡な人間が自分の住む世界を下界と表現するはずがなかった。

そんな彼女に少女の正体については、ただ一つだけ思い浮かんだ。

「神じゃない存在だって? じゃあ、まさかお前は神なのか?」

彼の質問に少女は悩んだ。

「少し前までは神だったとはっきり言えるが。 今は少し曖昧と言えばいいのかな。

そしてお前も神じゃないか!」



少女の言葉に彼は一瞬固まった。

「アポロン、 大丈夫?」

「アポロン? それはまた何か? そして私が神というのはまた何だ?」

これまで聞いたことのない名前を聞いた彼は、あわてて聞いた。

「本当に大丈夫なの? 自分の名前も忘れてね」

「私の名前?」

「だって、お前の名前だろ」

彼はそのときになって、自分の体が少し違うことに気づいた。

「ほら」

少女は彼に鏡を映した。

鏡に映った彼の姿は高校生くらいの年齢に見え、昨日まで彼が知っていた顔とも違った。



「こんな話にもならない」

考える暇もなく彼のお腹がゴロゴロという音が聞こえた

「おなかがすいたみたいだね。

じゃあ、まず山から降りようか?」

彼女の死後、彼はきちんとした食事ができなかったので、食事をしない限り彼は正常な思考ができないことを感じた。

「起きれる?」

少女が彼に手を差し出して言った。

「うん、ひとりでも起きられる」

彼は少女の手を振り切った。

彼は慎重に立ち上がったが、思ったより体に力がないことを気づいた。

しかし、すでに少女の手を振り切っていたので、彼女は大丈夫なふりをして立ち上がった。

そして少女の案内に従って森を抜け出た。



森を抜け出る頃に1つの町が彼の目に入った。

村の中を調べてみた彼は、文明水準は大体欧州の中世水準だということが分かった。

道のほとんどが土でできた道で、たまには石でできた道があった。

村の中心に入ると、建物の高さは3階から高いと5階くらいの建物が所狭しとあって、商売人と買い物客でごった返していた。



「この店、おいしいから、この店に行こう」

少女は彼の手を取って店に引きずり込んだ。

「おじさん、いつもので」

少女はいつものように自然と注文をした。

「わかった」

「それじゃ、話をしてみるか。 アポロン」

食事の注文を終えた少女が彼を見つめながら言った。



「まず、君は何も覚えていないようだから、僕が最初から説明しなおしてあげるよ」

「わかった」

彼は少女の助けが必要だということを一応理解していた。

「ここは神々ではなく存在たちが住む下界だ」

「それはさっきの話じゃないか。

それより私が神だということを話してくれ」

さっき答えを聞けなかった彼は、まず一番気になることを聞いてみた。

「分かった。 君は純粋神アポロンだ」

純粋神アポロン?」

「うん。そしてもともと私はあなたの兄ともいえる全能神ヘリウスという。

しかし私が死にながら私の力をすべて君に与えたから今は君が私の場所を継ぐようになったの」

「じゃあ今は純粋神ではなく全能神アポロンなの?」

「うん、思ったより理解が早いね。

じゃあ、次は私がなぜ死んだのか教えてあげる」

少女は神界に反乱が起きた点、これによって自分が殺された点、偶然な機会に念願神ルナとして再び復活できるようになった点、そしてアポロンを助けて神界のバランスを取り戻さなければならない点を少しずつ彼に説明してくれた。



「じゃあ、お前が言いたいのは、僕がお前と力を合わせて 神界のバランスを取ればいいってことだよね?」

「うん!まさにそれだよ。

手伝ってくれるんでしょ?」

少女は確信に満ちた声で話した。

「それなら断るよ」

しかし、彼はきっぱり断った。

「どうして?」

少女は少し当惑して彼に理由を尋ねた。

「当たり前じゃない? 私は生涯、神に助けを求めたにもかかわらず、無視され続け、地獄のような人生を生きた。

そして、幸せを与えるふりをして、いつも奪ってばかりいた。

でも今になって、君は神だから 世界のためにお前を助けろって?

話にならないよ。

そもそも私はもう世界が滅亡しようとどうなろうと何の関係もない」

彼は少女に自分が助けない理由を順々に詠んだ.



「もしかして、死のうとした理由はお前が愛した女のせい?」

少女の質問に彼はあたりの人たちが見上げるほど強くテーブルをたたいて言った。

「何も知らないくせに知ったかぶりをするな」

彼の怒った姿を見ても少女は屈することなく言った。

「彼女もここにいるよ」

「何だって」

少女の言葉に彼はありえないという表情をして言った

「うそをつくな。 私は彼女が死んだのを確かに見た」

「ほんとだ。実は私たちを支援してくれる方が一人いるのに、その方がみんな予測して事前に手を打っておいたと私に知らせてくれた

君が助力さえしてくれれば彼女ともすぐ会わせることもできる」

「その話は本当だろう?」

「ほんとうに」

彼は堂々と彼を見つめる少女の目つきを見つめた。

「分かった。それではいくつか質問しよう」

「思う存分やっていいよ」

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