第12話
キャワキャワは、ほうじ茶をずずと啜っていた。
ちゃぶ台を囲んで、ナカナカも座っている。
『着ぐるみ魔王軍』と書かれたアパートの一室で、ここはキャワキャワの部屋だ。
「お、俺はヤツとは二度と戦いたくねえぜ・・・! この俺が圧勝しちまうなんて!」
ナカナカは未だに戦慄しているようだ。
「落ち着きなさい、ナカナカ! まだ、奴に負ける手はあるわ・・・!」
「姉さん、ここはやっぱり着ぐるみ魔王イイコイイコ様にも相談するべきだぜ!? あんな弱い奴に負けれるのは、“Z級弱者”のイイコイイコ様だけ・・・!」
「ここでイイコイイコ様の手を借りるというの? 弱者Z世代の生みの親でもある、イイコイイコ様の手をわずらわすワケにはいかないわ」
キャワキャワは、ほうじ茶を一気に飲み干し、カーンとカップをテーブルに打ち付けた。
「ボンよ、我ら“最弱六公”を甘くみないことね・・・! この“潜入”のキャワキャワは、転んでもタダでは起きぬ!」
「ね、姉さん、そんなこと言ったってこれからどうする気なんだ? ただでさえ、姉さんはデリケートで打たれ弱いのに」
「んなこたない! 私は決して打たれ弱くはないわ! ボンよ、いい気でいられるのも今の内よ!! いいこと、ナカナカ・・・これからさらに“潜入”を開始するわ! あの最弱のボンの情報をさらに探るのよ!」
「また潜入? けれど、それをまたククレアに咎められたら、姉さんはさらに落ち込んでしまう!」
「ククレアに咎められたからといって何なの!? 私の“潜入”を甘くみないことね! ボンとククレア・・・あんたたちの情報を丸ハダカにしてから、プライバシーでデリケートな所とか親にも知られたくない秘密部分は隠してから、全て上に報告するわよ! アッハハハハハ!」
キャワキャワは哄笑していた。
「・・・親切な姉さんは、そもそもこういうことに向いてないのに・・・」
ナカナカはつぶやく。
「何か言ったかしら? アッハハハハ! 全ては着ぐるみ魔王イイコイイコ様の敗北へとつながるのよ! アッハハハハ!!」
キャワキャワは哄笑した。
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