第45話 慰謝料請求
午後に入ってランドルフは自領の執務に追われて、ケニアは投資した鉱山の追加見積の金額や商会の新たな商品の入荷審議と時間に追われていた。
ルーベンスは、ほぼケニアに着きっ切りで補佐をしている。
ケニアの集中力が切れ始めたころにドアをノックする音がしたので、ルーベンスはケニアに休憩を入れようとソファへと移動をさせてた。
しかし、ドアを開けては見たもののメイドは茶器の乗ったワゴンを持っていなかった。
「あの、ヴィヴィ様とアンゲル様からルーベンス様を呼んでくるように言付かりまして。」
「僕?何かあった?」
メイドは一度ケニアに目線を送った後、再度困惑した眼差しをルーベンスに送る。
という事は、ケニアに知られたくはない案件のようだ。ルーベンスはメイドの気持ちを理解して小さく頷いた。
「アミ、悪いけどケニアに休憩を取らせたいからお茶の準備をしてあげてケニア僕は少し他の用事は入ったから席を外すよ。その間にゆっくりしていて。」
「解りました。お兄様。」
ケニアに笑顔で返事をして後にした。
廊下を少し歩いているとサボが駆け寄って来た。
「ルーベンス様。ダンヒル子爵とエメ嬢がやって来ました。」
「良く来れたね。」
ルーベンスの呆れた返答にサボも同意を示すように大きく頷いた。
「何しに来たの。」
「慰謝料請求だそうです。」
「はぁ?向こうが?請求をするの?誰に?」
「解りません。未だ良く話を聞いておりませんので。」
ルーベンスとサボは速足で応接室へと向かった。
☆☆☆
ランドルフはケニア邸で一時仮の執務室を作って貰い、そこで領地経営の仕事をしていた。帳簿を付けては数字と睨めっこをする。間違いがあれば後でとんでもない事になってしまうので、何度も見直しが必要となる。アンゲルにそこは重々気を付ける様に指導をされていたので、絶対に手抜きはしない。元々の0か100の性格が功を奏している。
ドアをノックする音がして返事はするが、帳簿からは絶対に目を背けなかった。
「ランドルフ様。ダンヒル子爵とエメ嬢がお見えです。」
アンゲルの声に流石に顔を上げた。ランドルフが今ケニア邸にいるのはダンヒル子爵たちに屋敷を乗っ取られたからであり、彼らが此処へ来る意味は解らなかった。ましては、ダンヒル子爵たちがランドルフが此処にいるとは解るはずもないと思っていた。
「僕が此処にいることをよく彼らは解ったね。」
ランドルフも感嘆の声を出した。
「慰謝料を貰いに来たと言っておりますよ。」
「何で僕が慰謝料を支払うのさ。」
「ですから、応接室へと来て頂きたくお迎えに参りました。」
「馬鹿なの?彼ら。」
「貴方が言いますか?」
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