第42話 裁判します2
モニカは、部屋を見渡して自分が腰かける場所を探して、何故かルーベンスの横に座った。ルーベンスは、一瞬顔を顰めた。
「初めまして。モニカ・フィンデルと申します。」
ルーベンスに顔を向けて、態とらしく挨拶をした。
そして、ランドルフに向けて、左薬指に嵌っている指輪を自慢げに見せる。
「モニカ結婚したんだ。おめでとう。」
「ありがとう。もう一年半前だけどね。」
「へぇどこで知り合ったの?」
ランドルフは、一年半前という言葉には反応をしなかった。モニカは笑顔を引き攣らせて
「知り合ったのは、人からの紹介よ。誰かさんが結婚をするのに、一緒にいるのは自分にとっても良い事ではないしね。その紹介してくれる人が、恋人と別れたのであれば、私にとって良い人を紹介してくれるっていうから。でも、あの時に別れておいて本当に良かったわ。今私本当に幸せだもの。私がしたいこと欲しい事は全て叶えて下さるのよ。しかも、私にぞっこんなところが最高よね」
モニカは自分の旦那様を思い浮かべて頬に両手を添えて顔を赤らめる。
「モニカはご主人が好きなんだね。」
「当り前でしょう。自分を大切にしてくれる人を好きにならない人なんかいないわよ。逆に尽くしても全く視界にも入れて貰えなかったら、もう捨てるわよね。」
モニカはランドルフを睨み付けた。
「そうなの?そんな酷い人いるんだね。」
「貴方の事よ!ランド!だから離婚されたんでしょう。そしてそのために私は態々助けに来てあげたのよ!」
「そうなの?有難う。」
「ありがとうじゃないわよ!叱りしなさいよ。何乗っ取られているのよ。」
「今回はしっかりするよ。奥さんに見直して貰わないといけないからね。」
ランドルフが胸を張るが、ヴィヴィとアンゲルは大きく息を吐いた。ノック音の後に扉が開くとサボが入って来て手には手紙を持っていた。
「早いね。」
「自分自身で赴き、ガスト様にお会いして早急にあの方にもお会いすることが出来ましたので、お返事を証拠として書いて頂きました。」
サボから手紙を受け取ると中身を確認して、ルーベンスは口角片側だけ上げた。
「ラビィ嬢も証言台に立ってくれるという証文を貰えた。」
「ラビィは悔しかったんでしょうね。自分だけ牢屋に入ることが。」
モニカは楽しそうにクスクスと笑いながら話す。
「モニカ夫人もこちらに協力して頂けると思って宜しいでしょうか?」
「当り前でしょう。ここで、貴方を裏切ったら、私の幸せは足元から崩れ去ってしまうわ。」
モニカは目に見えて脅えだす。その様にランドルフは、首を傾げる。
「君達は知り合いなのか?」
「貴方に話すほどの関係ではないわ。」
モニカはランドルフの質問を切り捨てた。それを言われてしまうと、今は恋人同士でもないモニカにそれ以上は何も言えなかった。
「証拠も証人も揃ったので、裁判を起こしても勝てますね。」
「勝てるのかい?」
ランドルフの問いに、ルーベンスは得意げな顔を向ける。
「僕は勝てる勝負しか、しませんよ。絶対に勝って地獄を見せてやる。生きていることが嫌になる位に、ね。」
ルーベンスの笑顔にランドルフ以外の全員が震えあがった。きっと有言実行をする。ケニアの為なら。それをランドルフ以外全員が悟った。
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