第24話 取調室から2

「僕・・・騙されていたんでしょうか?」

「騙されていたから君は此処にいるんだよ。ラビィ・ハントはオルゲーニ公爵領で自身の取り巻きを使って特別税徴収という詐欺行為を行っていた。此方も彼女は罰せられる。男たちが自白をしたからね。」


ランドルフは、ガストの男達という言葉に反応する。


「男達ってどういう事でしょうか?」


ガストは、ランドルフに視線を合わせたままゆっくりと語った。


「本当に好きなら、詐欺行為なんかしないだろう。彼女には何人もの男たちが常にいたよ。知らないのは君だけだよ。」


ずっとランドルフだけが好きだと言われて来た彼は衝撃を受ける。と、いう事は・・・


「エメも?」

「あぁ彼女の取り巻きは沢山だ。君は欲しいものを与えてくれる良いカモだった訳だ。」


再度強烈なショックを受ける。


「しかも自分で働いたお金ではなくて、奥方が働いて得たお金を愛人に貢ぐのはさぞ気分が良かったことだろうね。」


自分は働いていなかったのだから、勿論貢物は自分の奥さんが働いたお金だ。徐々に顔色が蒼くなる。


「奥方は、領地経営のほかにも色々と手がけたり、投資を行ったりして資産を増やして君のために頑張っていたのに、君は奥方のデビュタントも愛人たちによって奪ってしまったね。」


そうだった。自分が此処に連れて来られたのは、デビュタンのドレスをエメが奪い宝飾品をラビィが強奪した事で取り調べを受けていることを思い出した。


「と、いう事は僕の奥さんはデビュタントには出席をせずに、自宅にいたという事ですか?」

「・・・・・そうだね。」


ガストは、今更そこ?という気持ちを抑えて答えた表情には出ていたが、ランドルフには解らなかったようだ。


「じゃぁ僕は奥さんに謝らなきゃいけないね。」


子供の様に返答をして帰るつもりで席を立ったランドルフをガストは両手を前に出して座るように促す。

「ランドルフ君。君はまだ帰れないよ。これから衛兵たちから事情聴取を受けて、さらにラビィ・ハント嬢との供述の相違の部分を精査して潔白が証明されないと帰宅は出来ないよ。」


父親が危篤であれば本来は恩赦があるが、ランドルフの場合には、恩赦が適応されなかった。それは、ランドルフが放蕩していた為にマティスの体調が悪くなり、公爵が不在時に代わりに領地経営などをする者が居なければ、嫡男がすべきことだが、ランドルフにはその資格がなかった。だから王家もランドルフが居なくても問題がないとして恩赦を与えることをしなかった。そして、恩赦を知らないランドルフは、この事実を知る由もなかった。


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