いんたーみっしょん。(その6)

「ここを抜けるぞ、ネ子」

「で、でもコウさん」


 戸惑いを見せるネ子を、


「ここが一番の近道だ。時間がないんだ、ネ子」


 俺は何とか説得しようとする。普通のルートをたどっていてはとても間に合わないと踏んだ俺は、“近道”をすることにしたのだった(ひょっとしたら、やつもここを使った可能性がある)(だとしたら、ますますここを抜けないと追いつけない)。



 そう、“試練の洞窟”だ。ここを抜けると、王城への近道なのは証明済み(?)だ。



「いいか、何があっても足を止めるな。立ち止まるな、動揺するな」


 フローさんから言われた禁止事項とは微妙に違う気もするが(ホントに俺、記憶力悪いなぁ)(苦笑)、だいたい合っているはずだ(多分!)。


「は、はい……」


 緊張した面持ちで頷いたネ子だったが、


「あの、コウさん。……今仰ったことって、ほとんど全部、同じことなんじゃ……?」


 ぎこちなく、俺の言葉に指摘してくる。


「ん? そうか?」

「はい」

「ま、まあ、いいじゃねーかっ!」


 苦笑する俺に、


「はい、すみません。茶々を入れてしまって」


 ネ子がおどおどと恐縮する。


「いや、全然、問題ねー。それより、頼むぜ?」


 ……緊張すると失敗するのがお前さんの“特技”だしな(苦笑)


「コウさん」

「ん?」

「手を握っていてくれませんか?」

「……いいぜ」


 俺とネ子はしっかりと手をつないで駆け出した。



 ――そして、俺とネ子は無事に神々の像の間を通り抜けたのだった。

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