第64話 一騒動
「に、兄さん…いつの間に婚約を…」
「婚約はしてない…」
「そうだよね蓮くん…やっぱりそのプロポーズは年上の私がやった方がいいのかな…でもなぁ…」
…話が余計に
しかもタチの悪いことに彼女になる予定ではあるのが非常に小憎たらしい
やっぱり言わない方が良かったか…
「兄さんなにその顔!!まるで『めんどくせぇ…』みたいな顔して!!」
「さすが
「…私、未だにわかんないんだけど…あの娘って女の子なのよね…?蓮くんはずっと『弟』って呼んでるけど」
「はい、私は兄さんの妹です。実妹です。なので私はそこの女に私の兄さんが
ひしっ、と僕の肩を回して抱きついてくる春を何も言わずに受け止め、なんとなく好きなように話させてやる
「…」
「蓮くん!?なんか言って!?別れないよね?ね!?」
「…はい、これでよく分かったと思うんですが…僕がまあ…女性にいじめを受けてても女性自体を嫌いにならなかったのはこの…春のお陰です。昔から変わらず、僕と違ってハチャメチャに喋るんですが…お互いになんていうか…同じ空間にいたのに違う世界に生きてたみたいな感じで…それもあってずっと春を『弟』だと思ってたみたいですね。」
「…ボクも、同じ…だね。兄さんは身近に居た最後の救いで…そんな兄さんから『精神鑑定』って名目でずっと離されて…捕らえられてたのには気が狂いそうだったけど…」
そこで一息区切って…
「…兄さんに、いい
そう言って、ぺこりと深い礼をする
「ありがとうございます、また弟と会わせてくれて…」
僕も同じく、深い礼をする
本当に、佐藤さんたちにはお世話になってばかりだ…
今も下げてる頭が本当に上がらない。
何度お礼を告げても、足りる気がしない。
「本当に…ありがとうございます。拓磨さん、みおさん…」
心に抑えきれない程の感謝を乗せて
…万分の一でも…感謝を伝えられたらいいんだけど…
「…兄さんがここまで言うなんて…本当に…いい人たちなんだなぁ…」
そして、なにやら1つの決心をした。
「兄さん…今は私の知ってる『
「ああ…」
「だったら…佐藤…さん。」
恐る恐るといった様子で、拓磨さんへと声をかける
「私を…また兄さんの『弟』にしてほしいです。」
「…うん。」
「だ…だから…私にも…『名前』を…下さい…。」
僕が本当に信頼してるといっても…やっぱり離れていた時間は、彼女自身にある程度の『
「…うん。実はね…蓮から『自分には弟がいる』って聞いてから…考えてた名前があるんだ。」
そこで、みおさんと顔を見合わせてお互いが無言で通じ合い…頷き合う。
「
「たった一人の蓮の家族…だから、蓮と通じ合う名前にしたかったんだ。」
「
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