第6話 親友と過去の昔話

「ねぇ!君凄く大きいね!名前はなんて言うの!ちなみに俺は犬山カゴメって言うんだ!


中学生に進級して、俺はかごめと出会った。隣の小学校出身らしく今までも会ったこともない始めましての存在。俺は中1の時点で170cmがあり他の生徒比べても頭ひとつ抜けており、周りは物珍しい視線で俺のことを見てくるけど怖さゆえかあまり話しかけてくることはなかった。そんな中でアイツは只1人、俺になんも隔たりもなく自然と話しかけてきた。


「あ、秋山涼太。身長は今年で170cmぐらいかな…犬山だっけ、よろしく」


「よろしく!秋山…アッキーって呼ぶわ!」


「その呼び方以外にしてくれよ」


そこから同じクラスということで、休み時間を外で遊んだり放課後や休みの日を遊ぶようになっていった。一緒にいる時間が増えて少しずつ彼の性格や家族ことなど深いことまで理解する事ができた。



好きな食べ物や漫画、なんでテニス部をやっているのか。背が高いアッキーが羨ましい、タイプな女子の話など今まで、ここまで仲良くなった友人がいなかったから俺にとっては全てが親切で新しい感覚になっていた。


そんなある日の放課後、俺たちはいつも通り学校から帰っている途中だった。今日はかごめの家でゲームをする予定で、何気ない会話をしながら彼の家へ向かっていた。


「ねぇ、アッキーってさ。テレビに出ているオカマとかどう思う?」


「なんだよ、急に。俺はそういった人を直接見た事ないからわからん」

「けれど、生き生きとしている姿を見るとなんだかカッコいいよな」

「キモいとか言う人いるけど、自信持っている姿なら俺はなんも言わないよ」


本音だ、テレビでしかそういったイロモノ系の人を見たことはないけど、その姿で堂々としていたりすると何故か心惹かれたりする。子供なので語彙力はなく上手く説明はできないが、直感で惹かれるものがそこにはあったのだ。

そして、それを聞いていた当人の顔を見る、まるで自分が褒められているかのような表情だった。目も少し潤んでいたと思う。


家につきリビングへ通される。今日は母親は仕事で姉2人も部活などで遅くなるらしい。だからこそ、普段は自分の部屋でしか遊べないのだが今日はリビングへ通された。


「ちょっとアッキー待っててね。今ゲームとかとってくるからさ」


「ん、おー了解。それまで漫画読んで待ってるわ」


それから待つこと20分。漫画を読んでいて退屈をすることはなかったけれど、ゲーム機やお菓子を持ってくる事にそこまで時間かかることなのだろうか、と疑問に思っていたが気長に待つ事にした。


「ご、ごめんねー。お待たせー」


「ん、随分時間かかったな。なんかあったのかよ…え、かごめ?」


呼ばれた方向に顔を向ける、そこにいたのは髪の長い白色のワンピースを着た女の子、いや女子のような白い腕や並んでも変わらない背丈ではあるが声や胸元は男らしさを残しており、先程まで物を取りに行っていた犬山かごめがそこにいた。


「おまえ、そういった事が趣味なのか…?」


「うん…だからあの時聞いてみたんだ。アッキーはどう思っているのかなぁって」

「あ、嫌な気持ちになりそうなら大丈夫!着替えてくるね!」


…そういうことか。


「いいよ、そのままで。早くゲームしようぜ、漫画飽きたし」


「え、アッキー?」


「お前はお前だろ。かごめは友達だし別に嫌いになったりしないよ」


「……うん!」


そう、あれが本当のコイツに出会った日なのかもしれない。俺は周りに言いふらすことはしなかった。友達が嫌な気持ちになるのはどうしても避けたかったし。

たとえ、どんな姿をしてようと変わりはしない。だからこそ、俺はコイツと親友になれたんだ。

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