第5話 お買い物とハンバーガー
「おおー、俺ここ初めて来たわ。こんなに揃ってるとは…」
学校を出て電車に揺られること20分、目的の多目的ビルに到着し目的のスポーツ用品店までエスカレーターで移動。5階にある目的につくと、すぐに彼は飾られているシューズやウェアをみて感激を受けていた。
「ここのお店、この前テレビで特集されるぐらい人気なんだよ」
「つい最近、バスケの有名な選手が買い物をする番組がここでやってたし」
鼻高に知識を述べるが彼は私の説明にあまり興味を示していない様子で、店内を見渡しながら「へぇー」「ほぉー」と適当に返事をし返す。未夢が言っていた通りに愛想が感じられない。
「あまり興味ない感じ…?」
「ん?あ、いや店の中すごい綺麗に商品並んでて目、とられてた」
「そんなに人気な店に普段行かないから。大体決まった店だし、行くの」
よかった…一応、聞いていてくれていたんだ
あまり反応がないのはきっと癖なのだろう
そう見えるだけで本当は聞いているところが、少しイメージが変わって面白い。
「確かシューズだよね、ほしいの。置いてあるところあっちだわ」
「あ、ちょっと!先に行かないでよ!」
目的地に着くと、彼は色々と専門的な知識を説明してきた。足のサイズに合わせて購入する時には少し余裕を持たせた方がいい、白だと汚れが目立つから色が付いてる色合いがいい、ポジションによって合う合わない物があるなど普段とはまるっきり違ったコミュニケーション力でペラペラと話していく。
「まぁ遊びでやる程度ならサイズと好きな色で決めて良いと思うわ」
「う、うん。あれだね、秋山くんって結構、話すんだね!」
不意をつかれたのか、目を大きく開けて少し照れた様子で首筋をさする
「そんなに意外か?まぁ、あんまり喋らないからわからないと思うけど」
「好きなことに対しては、口が軽いんだよ。だからバスケの話になるといつもかごめに鬱陶しがられる」
バツの悪そうな顔をするのも意外だった。ヤンキーのような見た目をしてその実、ただの高校生なのがあまりにも可笑しかった。
「なんだろう…話してると結構、面白いんだね!アッキーくんって!」
「う、うるせーよ。早くその黄色のシューズ買ってこいよ」
そう言って彼は自分がみたい物を見に、その場から離れていった。
⭐︎⭐︎⭐︎
「お待たせー、少しレジが混んでてさ」
「全然、待ってないよ。なぁ腹減ったし少し飯でも食いにいかねぇ?」
「せっかくだし奢るよ」
そう言うと彼は私の返答を受ける前に進んでいった。奢られることを拒否される前に目的地に行こうとする姿にめちゃくちゃだなぁ…と思いつつも彼の好意甘える事に。これで、やっと本来の目的として考えていた犬山くんの事に聞けると思い、心を馳せていた。
ビルを出て駅に向かう途中にお店はあり、彼曰く有名なハンバーガー店らしい。よくあるチェーン店ではなかった私自身も初めて見たのだが、海外に店舗が多いのかメニュー表に書かれている文字は英語で下に小さく和訳が表記されていた
「オススメはこれかな。テリヤキダブルバーガーアボカド入り」
「俺がいつも食ってるやつ。他のも美味しいけど1番はこれかな。アボカド食える?」
「一応、食えるけど…じゃあ私はそのセットで」
分からない時はわかる人のオススメを信じてみるしかない。それでハズレても自分が追う責任はゼロになるし
(奢ってもらう身で何ておこがましいことを考えているんだろう…)
先に席で待ってて何て言われて外が見える席に座る。周りを見ると仕事終わりのサラリーマンやカップルが座っており、案外色々な客層が入っているのだなぁと観察してしまう。
「うぃーす、結構いい席見つけたじゃん。ありがとね」
「はいよ、こっちが斎藤さんのハンバーガーね」
トレイごと私が頼んだセットを渡してくる。いいのかな、と思い彼を見ると5つのハンバーガーと三つのポテトがまた別のトレイに置いてある状態で私は目を逸らす
「俺、セットじゃ足らなくてさ。毎回食費が高いんだよね、あまりここには来ないようにしているんだけど来たら来たで、頼みすぎるんだわ」
「そ、そうなんだ….まぁその体型を維持するにはしょうがないね」
「まぁ、燃費が悪いんでね….そうだ、かごめの話聞きたいんでしょ?」
「うぇ!?どうして、なんも言ってないんだけど…」
「いや、分かるからそれぐらい。まぁ食べながら話していきますか」
ハンバーガーを片手に彼は話始める。
1番の親友からの話、きっと何かヒントがあるはずだろう
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