第4話 作戦変更します
「なぁー、犬山!放課後はゲーセンに行こうぜ!」
「またかよ〜、まぁ別にいいけどさ。アッキーは?」
「俺は部活あるしパス、また今度な」
あれから1週間が経ったが、私たちの環境は特段変化なくすごしていった。
犬山くんからも、アッキー…秋山くんからも特別、話しかけられることもなく私は私で普段通りにいつもの4人メンバーでご飯を食べたり放課後を楽しんでいる生活をしていた。
「1週間も経てば大体が仲良くなるって感じだけど、やっぱり1.2年時よりか早いよね」
「ねぇ〜皆んな慣れた感じで話してるよ」
普段と同じように、いつもの4人でお昼の時間を楽しんでいるが犬山くんを中心としたグループはクラスで1番大きいかたまりだろう。
「そういえば未夢って、秋山くんと同じ部活らしいじゃん。なんか話したりするの?」
「いや、全然。アイツの周りってあまり人が寄ってこないから。怖いじゃん?」
即答…たしかにあの背丈で、あの声で何か言われたりすると少し怖い気がする
けれど、3年生になった今でも状況は変わらないんだな、と不思議に感じる。
(確かにあの時も怖かったような…目つきなのかな?)
正直、秋山くんにはあまり興味はないけど彼が1番犬山くんに近い存在であり、
彼と少しでも仲良くなれれば犬山くんに近づけるかもしれない。
(考え方を変えよう…まずは近辺から責めていけばきっと…!)
まだ恋が叶うチャンスは転がっているはず!2人の秘密だったものを私にも開示してくれたのだ、嫌われていないと捉えることのできる回答に自然とやる気が湧いてくる。
『善は急げ』 そう思った私は秋山くんに接近する方法を考え始めた
⭐︎⭐︎⭐︎
「あ、秋山くんちょっといい…?」
「ん、何斎藤さん?俺になんか用?」
翌日、放課後にバスケ部の部活がないのを確認し彼に話しかけた。
昨日も残って自主練をしていたらしく、会話の最中に何回かあくびをして眠らないように耳を傾けている。
「なるほど。今度、高崎達とジョイ・〇リスに行ってバスケするからシューズを見に行きたいってことね」
「そうそう!秋山くんなら知ってるのかな〜ってさ!」
「いや、ソレなら高崎に紹介してもらえよ。なんで、男子なんだよ」
(こ、怖い…そんなに睨まないでよ…てか、声低…)
下手な嘘はきっと通じない。ここは正直に伝えて了承を得ないと
「女子同士で行くとお喋りで、本来の目的を見失っちゃうし…」
「あと、少しでも犬山くんの話がしたいんだ…ダメかな?」
正直な気持ちだ、これでダメなら他のやり方を見つけよう。
そう思いながら彼の返答を待っていると、大きなため息をついてきた
「わかったよ…そこまで言うんだったら一緒に行くわ」
「ほんと!?じゃあ、今日の放課後でね!」
「はいよ〜」
そういうと彼は教室に戻っていく。後ろから私と秋山くんが話している姿を見ていたのか、未夢が話しかけてきた。
「志帆!もしかして、犬山くんじゃなくて秋山が本命な感じなの?」
「いや、そう言うわけじゃないよ!犬山くんの近しい人から仲良くなろって話」
「なーんだ、そうゆうことか」
とりあえずこれで会う事ができた。本来の目的も加味しつつ少しでも仲良くなっていかないと…
⭐︎⭐︎⭐︎
「おーい、斎藤さん。お待たせ、ごめんね少し遅れたわ」
「うんうん、全然待ってないよ。それじゃあ行こっか」
駅で待ち合わせした後、電車に乗り繁華街へ向かう。
午後4時という時間帯からか車内は混雑していたけど、隣に立っている彼は
周りにいる人よりも一回り高いおかげで窮屈さを感じさせなかった。
「こうやって並ぶと一回りも違うんだね…私も少し高いんだけど秋山くんいくつ?」
「確か、この前の測定で193.4cmだったわ。多分まだまだ伸びる」
「すごいね!そんなに高ければ困ることも少なそう!」
「そっかね〜…案外不便な体格だよ、大きいって」
電車に揺られながら彼の顔を見つめる。夕日に照らされたその表情は
何かを言いたげで、思い詰めた表情だった。
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