第2話 夢じゃなかった、リアルな話



「あー…ほんとにほんとに!あれは夢でしょ!まじで!」


帰宅後、ベッドに寝っ転がり今日あった出来事を処理しようとしていた。しかし、あまりの衝撃に頭が追いついていない。

ほんとに彼女は犬山くんだったのだろうか、もしかしたら見間違いかもしれない


(けれどあの雰囲気が完全に犬山くんっぽかったたんだけどな。それに向こうも私の名前を呼んでいたし)


「あぁ〜ますます分からないや…」


直感的だが、この悩みは他の人には言ってはいけないような気がしていた。それがたとえ親友の3人であっても。

言ったところで信じてくれないかもしれないし、もし変な噂が流れたらそれこそ犬山くんにとって高校生活最後の1年間が最悪になる。受験勉強どころじゃなくなるだろう。


「直接会って話ができればいいけど…チャットでも送ろうかな、あーでもどうしよう」


クラスメイトにもなり、グループチャットの中から彼を友達登録をして軽く挨拶したぐらいだ、仲の良い友人でもない限り、こんな深いテーマで話しかけることなんてできない。


「もういいや…寝よう。寝たらきっと忘れることができる」


お風呂に入り翌朝の準備をして寝る事にした。

きっとアレは夢に違いない、同じクラスになって浮かれていたのだろう。同じ雰囲気をもつ女子生徒と勘違いしただけなのだきっと…


⭐︎⭐︎⭐︎


朝6時半…


「んん……アレもう朝?アラームの30分も前じゃん…なんか通知届いてる、誰からだろう」


犬山かごめ

『おはよー、今日なんだけど放課後暇?少し話をしたいんだけどいいかなー?昨日の夜のことで話したくて。あ、アッキーもいるんだけど」


人間、一瞬で目が覚めることなんてあるんだな。

昨日の出来事は夢ではないことを数秒で理解し、今日の放課後の件は断ることのできないことも理解した


(昨日のことで話ってなんなの…口封じなんてしないと思うけど。てか秋山くんも同席とかホント怖いよ…)


アッキーこと秋山健太はバスケ部の副キャプテンで身長も校内で1番高い190cmでセンターというとりあえずゴツい人がやるポジションのレギュラー

顔はスッキリとしていて整っているがツーブロックと体格のおかげで女子からは少し怖がられている。悪い噂はまず聞かないが、いかんせん威圧感があるせいか、いるだけでも怖い


「はぁ…学校に行きたくないよ……」


重たい私の気持ちとは裏腹に4月の外は快晴な様子だった。


⭐︎⭐︎⭐︎


「ごめんね〜、斎藤さん!急に連絡しちゃって。あの時間ってまだ寝てた感じ?」


「ううん!起きてたよ!今朝はたまたま起きてた感じかな…普段ならもう少し寝てるんだけどね!」


「うぃーーす。斎藤さんもいるじゃん、おつかれ」


「アッキーってさ、圧がありすぎなんだよ。だから彼女できないんだって」


「うるせーよ」


2人の会話に入ることができない。いや、私が緊張しているせいだろうか頭に入ってこない。


(この2人っていつもこんな風に話しているんだ、あまり話しているところ見たことないから新鮮かも…)


「あー、斎藤さん。聴こえてる?あの話して大丈夫?」


「あ、どうぞどうぞ!聞いてるよ!」


腕を組みながら私のことを見る秋山くん、威圧感満載だが私たちの様子を見守っているように見えた。


「まぁ、俺は2人の話が終わったら会話に入るから。ポテト食ってる」


「オッケー、それじゃあ昨日の出来事についての話とさ、なんで俺が女装しているか話していくわ」


アレは夢じゃなくて本物。


リアルな事実が私の頭をクリアにしていった

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