恋した君は男の娘!?
Rod-ルーズ
第1話 スタート?
恋は盲目という言葉を聞いたことがある。好きで好きでたまらない人に出会うと、自然と理性や常識が頭から離れていって最悪なケースだと犯罪に染まる事だってニュースを見ていれば高校生でもよくわかることだ。
流石に学生の身としては、そういったケースには遭遇せずに終わると思うが、性格や異性を大切にする人かどうかの判断は第三者の意見を聞いてみてもいいかもしれない。
あとは自己判断だ、好きにしよう。たとえどんな趣味を持ったとしてもそれすら好きにしてあげればいい…
⭐︎⭐︎⭐︎
(ま、まさかこんな事ってあり得るのだろうか…)
4月1日、我が笹ノ宮高校は新学期を迎えていた。春から高校生活を開始する1年生や進級して先輩となった2年生。そして、私たち受験や就職を控えた3年生と皆、新しい始まりを迎える。
私、斎藤志帆(しほ)も高校最後の1年を仲の良い友人たちと同じクラスになれた事を皆で喜び合っていたが、1番嬉しかったことが他にあった。
「犬山とまた一緒かよ。まぁ、今年もよろしくな」
「うん、よろしく!アッキーと最後の一年迎えられてよかったよ!」
犬山かごめ…
少し茶色の髪色をしているが決して不良とかではない。少し癖毛気質でふんわりとしており、何より男子では小柄な163cmという身長も相まってみんなから可愛いと言われる男子生徒だ。
私はこの犬山かごめの事が好きだ。なんなら、一年生の頃から好きで体育の授業や部活の練習風景を見るとつい、目を追ってしまうレベル。
友人たちからはすぐに感づかれイジられたりしたが、皆、優しい性格からか背中を押してくれた。
それから、一生懸命に話す機会を伺う日々を送ったものの彼は何かとアッキー…秋山涼太という中学からの友人と一緒におり、それ以外にも人がいる状況下だったので、1人の女性生徒が話をすることができずに時は流れていった
見かけても声をかけられない日々が続き、何度かファミレスで友人に愚痴をこぼしていたが、ある時、諦めない恋を1年追っていくうちにふと話すタイミングが舞い降りてきた。それはある日の放課後、図書室で本を借りている時にうっかり遭遇したことがキッカケだった。
国語の授業で『歴史的作家が書いた本をレポートとして提出してください』という、苦手な人にとってはやりたくない課題を出され図書室をウロウロしていると彼の方から話しかけられた。
「あの、もしかして現代文の課題のやつ探していたりする…?」
「あ!は、はい!いいやつないかなぁ〜って、あと読みやすい本であればいいなぁ…って」
「そっか、苦手なんだね!現文か、、、そうだなぁ〜羅生門とかどう?2年の先輩から読みやすいよオススメされたんだ」
「そうなんですね、じゃあ借りてみます!ありがとうございます!」
「うん!あ、もし見かけたらまた今度は話しかけてよ」
「え?それってどうゆう…」
「普段からよく見かけるし、俺のことが気になるのかなぁ〜って思えてさ。それじゃあ、アッキー待たせてるから!またね〜」
⭐︎⭐︎⭐︎
(あれから話したことなかったな…なんか、会うこともめっきり減ったし…けれどこれはチャンスなのかもしれない!)
降り注いだこのチャンスを活かさない手はない。早速、声をかけよう!
⭐︎⭐︎⭐︎
「無理…話しかけられない」
「志帆ちゃん、諦めちゃダメだって。やっと同じクラスになれたんだからさ」
「「そうそう」」
放課後、親友の3人である
高崎未夢・園田奏・今吉裕香の友人たちといつも行くファミレスにやってきた。今日も今日とで私の愚痴を聞いてもらっている
「志帆ちゃん、前から言ってるけどもうちょっとガッツリ言った方がいいって。せっかく、同じクラスになったんだからさ」
「わかってる…」
自分自身、気づいていることを誰かに指摘されるのはなんとも言葉にしづらい感覚になる。私は、少しのイライラをストローにぶつけていた。
「まぁ、そのうち近づけるチャンスはやってくるでしょ〜。同じクラスなんだしさ」
「そうだよ、だからのんびりやっていこ!あ、私お腹すいたから軽く食べていい?」
(まったく人がせっかく悩んでいるのに…!)
毎回、聞かされている話に飽きつつあるのか話を早々に切り上げられ空腹を満たすべく私以外の3人は、ポテトやドリアなど好きなものを頼んでいった。
私は今後の展開をどうやっていこうか1人悩みつつ、メニューを見つめていた。
⭐︎⭐︎⭐︎
「あー、もうこんな時間か…1日ってほんと早い」
友人たちとご飯を食べ終え、買い物に行った後には時刻は午後7時近くを回っていた。親には前もって遅くなると連絡をしてはいたが、ただの遊びで夜を迎えるとなると流石に心配する。
「寒いし、何かあったかいの買って行こ」
コンビニよりホットコーナーへ立ち寄る。自転車を漕いでいたせいか、手は悴むほどではないけど冷たくなっているし体も冷えている感覚がある。私はアップルティーを購入しようと近づくと、すぐ隣に同じ女子高生がいることに気がついた。
「あ、ごめんなさい!どうぞ、お先に…」
「ありがとうございます…斎藤さん?」
その声に聞き覚えがある。姿形は普通の女子高生で背丈も小さく小柄な体型。
しかし、その声はあまりにも女子にしては低すぎた。
「い、犬山くん……?」
私の好きな人。その人は女装趣味を持っていた男の娘だった
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