第一章それそれとこれこれ・2
新学期、教室に着き私は席に座ると深呼吸をした。緑の風が吹き込んでくる。朝7時なのでまだ教室には誰もいないので本を読む。
ふと前を見ると新庄というちょっと変わった少女が座っていた。彼女は新興宗教の信者という噂を持つ人物で、昨年まで中等部で3年間過ごしてきたわけだが男子も女子もそして先生までも彼女の声を聞いたことがない。勿論常識的に考えてみれば私立の学校に信仰宗教信者が通うことは滅多にないのかも、、と思っている自分がいる。何故、彼女は信仰宗教信者という噂があるのかすら知らないが、きっと喋らない・一人でいるを3年間も続けているからだろう。
私は勇気を持って本を読んでいる新庄に話しかけてみた。
「ねぇ、何を読んでいるの?」
彼女は口を開かず、本を見せてきた。
『砂の女』《安部公房による代表作、面白いので読んでみてね》
「安部公房ね!好きなの?」
と質問すると彼女は首を横にふる。
「じゃあなんで読んでいるの?」
彼女は目を逸らした。
8時くらいになると竹田結菜がやってきた。
「菜音ちゃんお久〜」
「どうも、」
と返事をすると、
「突然なんだけどさ、軽音楽部の高田ってやつがバンドメンバーを探しているらしいんだけど菜音ってピアノが弾けるし3年生の頃作曲のコンクールで入賞してたしピッタリだと思って、私はさボーカルで入るんだけど菜音も入らない?」
私は、
「え〜、、私は別に楽器もあるし良いんだけどピアノもクラッシックしか弾いたことがないし、作曲も現代音楽のコンクールであってポップスとかも作れないし不安だなぁ〜」
というと、すかさず結菜は言う、
「そんな堅苦しいことは言わないでさ、入ればいいじゃん〜」
とまぁ、私は推しに弱いので翌日の放課後楽器を持って音楽室に集まることになった。
そんなこんなで私の新学期の朝は終わりあっという間に放課後になる。
担任は倫理の古谷先生だ。
彼は言う
「本年度は文系理系を決める大切な一年だ。将来の進路や自分のやりたいことをきちんと考えるように。」と、
私は何をしたいのだろうかと考えると頭が痛くなる。勉強が特別できないわけでもないが、みんなと同じように一流の大学へ進学して東証一部上場の企業に入社して、、なんて道が果たして幸せなのか分からない。
その日は早く帰って翌日の放課後シンセサイザーを持って音楽室へ行った。
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