33.広井さんと役所に婚姻届を出しに行こう
「結婚しようか」
「えぇ……結婚って……キミ、アタシのこと好き過ぎるなぁ……んひひ」
満更でもない顔の広井さんと共に君は、市役所へと向かった。
「その結婚年齢は十八歳からですので……」
だが、役所の人間は君たちの結婚に対して無理解であった。
確かに君たち二人はまだ十五歳である。
しかし、結婚したいという情熱は三年という月日を埋めて余りあるものではないのか。
そのようなことを君は滔々と訴えたが、役所の人間は首を振るのみ。
「もうやめようよ……今すぐ結婚しなくてもさ……」
広井さんが君を止めようとするが、君に止まる気はない。
この情熱こそが広井さんが君に惚れた一要因であるのだ。
「どうしても僕たちの結婚を認めてくれないというのですか!?」
「そういう台詞は役所ではなく、相手方のご両親に言ってほしいのですが……」
「ならば此方にも考えがあります!」
「勢い百パーセントで婚姻届を出そうとする人間に考えがあるとは思えないのですが……」
君は銃口を役所の人間の頭部に押し当てた。
「選べ!死亡届か婚姻届か!」
死と恋を天秤にかけた殺し文句であった。
「やめてよぉ……結婚なんかしなくてもアタシはキミのことを好きでいるからさぁ……」
涙ながらに訴える広井さん。
だが君には、最早広井さんの言葉も耳に届かない。
暴走する婚姻届提出マシーン、それが今の君だ。
「私を人質にとっても結婚なんか出来ませんから……結婚したいなら、法律の方を変えてくださいよ!」
「法律の方を変える……そんなことが!」
「出来ますよ!実際、以前までは女性が結婚可能な年齢は十六歳でしたが、二〇二二年の四月からは十八歳に変わりました!その逆もしかりというわけです!」
「しかし……どうやって法律を変えればいいんだ?」
「選挙権を行使してください、十八歳からは貴方も選挙に行くことが出来ます」
「しかし選挙権と言っても、結婚可能な年齢の引き下げを公約に掲げる候補者がいるとは思えないなぁ」
「だったら被選挙権を行使するというのは如何でしょうか、これは二十五歳から可能です……もしくは、政治家が結婚可能な年齢を引き下げたくなるようなムーブメントを起こしてみるか、ですね」
「うーん、なるほどなぁ」
「そうだキミ、せっかくだからアタシたちのちいきの
「うん、そうだね!ぼくたちの
「たかが
「「はーい!!」」
【選挙に行こうEND】
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