32.頭の良くなるラブソングを歌い続ける

 変なことをするつもりはない――デンモクを操作し、君は頭の良くなるラブソングをを入れ続ける。


「えぇっ!?」

 前奏が流れ始める。

 驚愕する広井さんを後目に、君は右手にマイクを左手にデンモクを持ち、まだまだ頭の良くなるラブソングを入れ続ける。

「ちょっ……やめ……」

 広井さんがデンモクに手を伸ばすのを君は阻止し、ひたすらに頭の良くなるラブソングを入れ続ける。機械には触らせない、歌唱の邪魔は誰にもさせない。


「そういうタイプの変なことはしないでよ!!!!!」

 部屋から逃げ出した広井さんのことは気にせず、君はひたすらに歌い続ける。

 やがて条例の時間を迎え、店員が君を部屋から出そうとしたが――それを無視して歌い続ける。

 警察すらも君は止められない――枯れた喉は音の残骸すらも吐き出さない。

 それでも君は歌い続ける。

 何を考えているのだ。


【俺の歌を聞けEND】

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