34.眉につばをつける
眉唾という言葉は、眉につばをつけることで狸や狐に騙されることを防ぐことが出来るという伝承から来ている。
君は話があまりにもうますぎると思い、咄嗟に眉につばをつけた。
すると、高校は森に、広井さんの姿は狐へと変じた。
「わしゃあ、狐に騙されておったんじゃのう」
「こーんこーん、ばれてしまったこーん」
しかも君は高校生でもないし、それどころか今は江戸時代であった。
「しかし、お前……わしを騙して何がしたかったんじゃ」
逃げようとする狐の首根っこをつまんで、君は狐を問い詰める。
「こーんこーん、旦那さんは前に罠にかかったオイラを助けてくれたこーん、だから……その……」
狐の頬が赤く染まったような気がして、君は空いた片腕を使ってもう一度眉につばをつけた。
それでも、狐はどこか照れているように見える。
「むむむ……」
この恋心は幻ではないらしい。
一体どうしたものか。
狐につままれた気分のまま狐をつまんで、君は森の中をゆっくりと歩いた。
【狐に化かされEND】
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