3. 死んでも変わらず
朝日が顔を出す頃、二人はページェンティスの城下町に着いた。
「なんなんだ、その格好は」
「だって、太陽登ったんだもの。日に焼けちゃう!」
ディジーは手袋にフードにと、肌という肌を全て隠した。
そう言えば、ウルフがアルビノは紫外線が大敵だと言っていた事を思い出す。
「この体、少しも傷つける訳にいかないもの!」
「少しも?」
「だって、折角こんなに綺麗なんだもの、傷つけたくないの」
その台詞に、シンバは呆れる。
「早くどこか建物の中に移動しましょ?」
「とりあえず、図書館に行って、地図をコピーするよ。それから歴史の本を見て、神霊がどこにいそうか考える。歴史的にも有名な者なら、神霊として、どこかにいそうだし」
「アナタでもマトモに考えてるのね」
「キミも少しはマトモに考えたら?」
「何を?」
「少しくらい傷ついたって大丈夫だよ」
と、シンバは、ディジーのフードを外した。
日に光る白い髪はキラキラと綺麗に光る。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
まるで吸血鬼が日を浴びたかのような悲鳴を上げ、ディジーは急いでフードをシンバから取り上げ、被った。
「何するのよ! 日に焼けたら、は、肌が黒くなるし、黒くなるのも健康的な感じじゃなくて、ひ、酷くなるのよ! 火傷したみたいになるの! それに皮膚の病気にもなるし、そ、それに——」
「わぁるかったよ! でもまだ朝日だよ? 少しくらいなら平気だろ? 日中じゃないんだしさ」
「だ、駄目よ、駄目駄目! アナタ知らないだろうけど、この体はアルビノなのよ! アルビノはね、日の光に弱いのよ!」
「この体はって変な言い方するね、私はアルビノなのって言えばいいじゃん」
「・・・・・・それだけじゃないの、ページェンティスはルピナスと遠い親戚関係にあたるの。だから私は身を隠していたいの」
「なんで? 親戚関係になるなら、協力してもらえるじゃん?」
「駄目駄目駄目! 兎に角、城には行かないからね!」
「・・・・・・なんだかなぁ」
シンバは意味がわからないままで、溜息を吐く。
町に流れる川の上を大きな橋がある。その中央で、川の流れを見ている小さな少年がいる。
シンバ達の後ろから、同じくらいの子供達が駆けて来る。
シンバ達を追い抜き、その川の流れを見ている少年を突き飛ばし、
「あはははははは、ドン臭いウィード!」
と、大声で子供達は笑っている。
少年は突き飛ばされた時に、手にもっていた何かを川に落としたようで、川底を覗くように橋から身を乗り出す。
「バカウィード!」
「変人ウィード!」
「嘘つきウィード!」
子供達は少年を罵る。どうやら、少年はウィードと言う名のようだ。
「お前等、ここに並べ!!!!」
突然、シンバが、子供達の傍に辿り着くと、そう吠えた。
子供達は見知らぬシンバに呆然とする。
「お前等、生まれ変わりってわかるか?」
川を見ていたウィードも、シンバを見て、驚いた顔をしている。
「いいか、生まれ変わりってのはな、平等にできてるんだ。ゴーストに堕ちずに死んだら、魂は分散して、新しい命に向かう旅をする。魂というエネルギーは100%から、50%ずつ別れる。ひとつは50%のエネルギーのままだが、後の50%は1%ずつ、小さな小さなカケラになるんだ。そして50%のままの魂に、どこかで出逢うと、また一緒に旅を始める。50%が51%になる。そして、52%、53%と、いろんな人の中にいたエネルギーを少しずつもらい、100%にしていく。100%になったら、今度は肉体を探す。そして肉体に出会い、またこの世に生を宿す」
何の話をしてるのだろうと、子供達はそれぞれ顔を見合わせ、首を傾げる。
しかし、シンバの話は続く。
「いいか、お前等は、お前等だけじゃないんだ。才能ってあるだろ、絵がうまかったり、運動が得意だったり、頭が良かったりさ、それは1%の元々の努力の結晶なんだ。50%の人格の柱となる魂と1%ずつ、いろんな人達からもらった才能。それで僕達はできてるんだ。才能は持ってるだけじゃ、只のエネルギーだけど、開花すれば、99%の努力で、また一つのエネルギーになる。難しいかもしれないが、僕達は見た事もない、知らない誰かのエネルギーで、生きてるんだ。だからね、僕達は、この世の全ての生き物と連動していると言っても過言ではない。一人はみんなであって、みんなは一人なんだよ。だから、誰かに酷い事をしたら、それは、自分に、必ず返って来る」
要するに、いじめをやめろと言いたかったようだ。
だが、子供達にその話は伝わらず、
「なんだ、このおにいちゃん、バカなんじゃないの?」
と、口々に言い出した。
「シンバ、普通の子供達にガルボ村の教育は通じないよ」
と、ディジーがそう言うが、シンバは、
「バカはお前等だ!! なんでわかんねぇんだ!!」
と、吠えた。
少年はシンバでは頼りないと思ったのか、その場から逃げるように走り出した。
「お、おい!」
シンバが呼び止めるが、
「やめときなよ。アイツ、去年にお母さん亡くして、孤児になってからおかしいんだ」
と、一人の子がそう言った。
「おかしい?」
ディジーが、聞き返す。
子供達は体を全て着ている物で隠しているディジーに一歩下がりながら、
「いつもこの橋で一人でいるし、大通りで、一人でしゃべりながら、笑ってたり。聞いたら、犬と一緒に遊んでるとか嘘言うんだ。犬なんていないのに」
と、そう言った。
「アナタ達、そんな子をいじめてたの!? 優しくしてあげなきゃダメじゃない!」
少しキツイ口調で、そう言ったディジーに、子供達はまた一歩下がり、
「だって、アイツ、変なんだもん」
と——。
シンバは川を見ている。
川に落ちた物、それは小さな指輪だった。
遠くからだが、それはディジーにもわかった。
「指輪はお母さんの形見とかじゃないの?」
ディジーが誰に問う訳でもなく、そう言ったが、子供達は自分達が責められてるようで、怖くなり、その場から走って逃げ出した。
「ねぇ、シンバ、形見だったのかも」
「そうかもな。でも、こんな大きな川で、あんな小さな指輪、もう見つからないよ。それに指輪なんてなくても、大丈夫だろう。いつまでも死んだ者に拘るから、暗くなるんだ」
「・・・・・・シンバはそうやって育って来たんだね」
「え?」
「さっきの魂の話も、一つの魂は生きてきた者達みんなの魂で出来てるとか、そういう風に生きてきたんだね。才能の話も——」
「ウルフはね」
「え? ウルフ?」
「ウルフは苦手な事も、99%まで持っていくんだ。アイツは凄い奴でさ、努力家で、才能のない事でも、99%まで持って行く。才能なんて1%に過ぎない。あってもなくても同じだって、アイツは言うんだ」
「・・・・・・じゃあ、シンバもそうすればいいじゃない、羨ましいなら」
「羨ましい? 何が?」
「ウルフって人が、才能に恵まれてるのが羨ましいんじゃないの? それが才能じゃなく努力だとわかってても、99%まで持っていくなら、それは才能と同じでしょ」
「うん、そうなんだよね、才能と同じなんだよね。でも羨ましいんじゃないよ。どっちかって言うと、僕は羨ましがられる方だから」
「どうして?」
「そんなカッコいい友達がいるなんて、みんなから羨ましがられるに決まってるじゃん」
そう言って、ニッコリ笑うシンバに、ディジーは、この人はこういう人なんだと知る。
素直に相手の素晴らしいところを認め、妬んだり、悔しんだり、そういう汚い心を持たない人なんだと——。
むしろ、相手の素晴らしい所が、自分の素晴らしい部分であるかのように、それを自分の事のように誇りに思う。
それが一人はみんなであり、みんなは一人であると言う意味なのかもしれないとディジーは思う。
「子供達見てたらさ、自分も、ああいう子供の時があったなぁって思っちゃってさ」
と、笑うシンバに、ディジーも少し微笑んで見せた。
「あの子供達を見て思い出すなんて、じゃあ、誰かをイジメてたのかしら? それともイジメられてたのかしら?」
少し意地悪な質問。
だが、シンバがどんな子供だったか、想像できる——。
いい子だったのだろうと——。
「だけど、みんな、シンバみたいに思えないよ。育って来た環境が違うし、何かに執着して生きてる人は一杯いるし、それが生きる糧になる場合もあるし、悪い事じゃないと思う。あんな小さな子が母親を亡くし、その母親の形見を大事に持ってるのは悪い事じゃないでしょう?」
そう言ったディジーに、シンバは、
「僕達には関係ない事だよ、図書館に急ぐよ」
と、歩き出した。
ディジーは、もうどうしようもないのかと、川の流れを見ながら、シンバの後について、歩き出す。
大きな川に、小さな指輪は見つからない——。
町の図書館に着くと、シンバは歴史の本が並ぶ棚へと向かい、何冊かの本を手に取ると、座って、読み出した。
ディジーは窓の光を避け、棚の陰の机に向かい、寝始めた。そんなディジーの傍に、一冊の本を持って、近付くシンバ。
「なぁなぁ、このぺージェンティスも英雄に助けられてるみたいだ。ほら、書いてある。昔、動物達が月の光で変貌し、暴れてた頃、このぺージェンティスにも月で変異した化け物が現れたのですが、英雄が仕留めてくれました。町は全て化け物にやられましたが、英雄の御蔭で、死者はなく、城も残りました。だってさ! っておい!!!! 何寝てんだよ、お前、神霊探す気ないだろ!!!!」
少し大声を出したシンバを、図書室員の人が睨み、咳払いをした。
静かにしなければいけない場所で、大声を出してはいけない。
シンバは、苦笑いで、ペコリと頭を下げる。
「なんだよ、気持ち良さそうに寝ちゃってさ。はぁ・・・・・・」
溜息を吐きながら、本の続きを読むと、町を作り直した次の王であるリン・ぺージェンティスについて書かれていた。
これまでの王と違い、リン王は民の安全を第一に考え、民の声に耳を傾ける素晴らしい王であった。当時、化け物のせいで、何人もの人が被害にあい、中には死んでいった者も少なくなかった。その為、親のいない子供が増え、大通りには上流家庭の者に集る子供達が増えた。そんな子供達を救う為、リン王は親のいない子の為の施設を作り、それは人々に幸福を齎す結果となった——。
「・・・・・・ふぅん。リン・ぺージェンティスねぇ」
シンバは読みながら、少し考え、受付に行くと、メモ用紙を一枚もらって来た。そして、それに、『起きたら図書館の前で待ってて。ちょっと出てくるから』と、書き残し、ディジーの目の前に置いた。
シンバは書き残したメモのままに、図書館を出て、大通りへとやって来た。
行き交う人々。
今、この町に、こうして、人口が増えたのも、リン王の御蔭と言っていいだろう。
「あ、あの子は——」
大通りの隅で、泣きながら、犬に何か話しているウィードの姿。
シンバはウィードに駆け寄った。
「よぉ! 何泣いてんだよ?」
泣いている理由は川に落とした指輪の事だろうと思ったが、シンバは、そう声をかけると、ウィードはビクッとして、シンバを見上げた。そして逃げた。
「お、おい! 逃げる事ないだろ! おい! なんだよ、聞きたい事あったのにな」
ウィードも孤児だと聞いていたので、施設の事を聞きたかったのだ。
シンバは、ウィードと一緒にいた犬を見る。
「デカい犬だな。事故で死んだ上に、ここで御主人様を待ってんのか? バカだな、未練タラタラで幽霊に堕ちても、御主人様はお前を連れてってくれないよ。だって、お前、もうこの世の者には見えないんだから」
犬の霊はそう言ったシンバに鼻を鳴らし、上目使いで見てくる。
犬の足元にはパンのカケラが置かれている。
「あの子、お前に食べ物をあげてたのか? それがお供えとなって、お前の強い霊力エネルギーがあの子を守ってたのか。だから、あの子は、今迄、助かってたって訳か。でも、もう大丈夫だよ、あの子に纏わりついてる嫌な影は消えてたろ? あの子が持ってた指輪は川の底だよ。もうあの子を縛り付けるものはなくなったんだ。あの子がお前を見えてたのも、その暗い影の影響だから、それがなくなった今は、直ぐにお前の事も見えなくなる。だからお前も成仏しな? いつまでもここにいたら、地縛霊になるぞ?」
シンバは優しく犬の頭を撫でる。犬の首輪にプレートがある。
「住所が書かれてるじゃないか。名前は・・・・・・ファングか。おいで、ファング、家に帰ろう、そして、自分が死んでいる事を確認しな? そしたら、お前も、生まれ変わる旅に出よう。成仏するんだ」
犬はシンバの言っている事がわからないのか、そこを動く気配はない。しかし、シンバが、
「おいで、ファング」
そう何度も呼ぶもんだから、犬——、いや、ファングは腰を上げ、シンバの後を、ゆっくりと歩き出した。
大きな立派な犬だ。逞しく、力強く、でも青い瞳は優しい。真っ黒な毛並みも綺麗で、とても大事にされたんだろうとわかる。
ファングはシンバの後ろを歩いていたが、住所に近付くと、シンバを追い越し、走り出した。家への道のりが思い出されたのだろう。
死んだ時、記憶がなくなる場合がある。自分が誰なのかさえ、わからなく霊に堕ちる場合もある。ファングも、記憶の一部がなくなり、家への道がわからなかったのだろう。
やがて、大きな家が見え始め、ファングはその家の玄関の前で、大きなシッポを左右にブンブンと振り出した。
そこがファングの家だったのだろう。
暫くすると、扉が開いて、一人の女性が出てきた。ファングは嬉しさの余り、その女性に飛びつき、シッポを大きく振って、甘えた声を出すが、女性は気付かない。それどころか、
「行くよ、ネイル!」
と、新しい犬の名を呼び、そのネイルと言う新しい犬と散歩に出かけようとする。
ファングは自分の居場所であった、その女性の隣に、自分の居場所がなくなってる事を知り、あれだけ左右に振っていたシッポの動きを止めた——。
シンバはファングの頭を軽く撫で、
「すいません」
と、女性を呼び止めた。
「はい?」
振り向く女性。
「すいません、ここ等辺に孤児院はありませんか?」
そう聞いたシンバに、女性は、
「あ、それなら、橋の向こうですよ、正反対だわ。散歩のついでですから、案内しましょうか?」
と、親切な笑顔で言って来た。勿論、案内しましょうかと言ってくれる女性だろうと、シンバは確信していた。困っている人をほっとけないタイプのような気がしたのだ。
それは元飼い犬であるファングを見れば、よくわかる。
ファングも飼い主同様、困ってる者をほっとけないのだろう、だから、あのウィードを守っていたのだろう。
「折角ですが、僕は犬が苦手なんです。でも案内してくれると助かります」
そう言ったシンバに、女性は少し考え、
「わかりました。ネイル、お留守番してて。直ぐに帰って来るわ」
と、ネイルと言う犬を家の中に入れた。
シンバは、ファングにソッと伝える。
「ほら、最後の散歩だ」
ファングはそう言ったシンバの言葉がわかるのか、少しシッポを振ると、さっき迄ネイルが立っていた女性の横に立つ。
そして、女性が案内の為、歩き出すと、ファングも女性に合わせ、歩き出した。
シンバは女性の後ろをついて行く。
ファングは何度も女性を見上げ、嬉しそうに軽快な足取りになって行く。
「アナタ、旅の人?」
女性が振り向いて、シンバに聞いた。
「ええ、まぁ、修行中です」
「修行? 将来は兵士にでも?」
「兵士?」
「だって、ほら、大きな剣を背負ってるから。だから旅の人なんだろうと思ったんだけど。でも今は旅の方も武器は持ち歩かないと聞いたわ。アナタも、そんな物騒なものを持ち歩かなくても。兵士になる為に道場にでも通ってらっしゃるの?」
「あぁ、まぁ・・・・・・アナタは、犬、好きなんですか?」
シンバがそう尋ねると、女性は、また振り向いて、
「ええ。前に飼ってた子が事故で亡くなって、もう飼わないって決めたんだけど、やっぱり好きだから、また飼っちゃって」
と、笑顔で答えた。
「前も大きな犬を?」
「ええ。捨てられてたんです。子犬だった頃はうんと小さかったんだけど、凄く大きくなっちゃって。とてもヤンチャで、でもとても頭の賢い子だったわ。いつも大通りで、私の帰りを待っててくれてたんです。でも、もう大通りは、あの子を思い出すから、ずっと通ってないわ。あの子が死んでから、ずっと——」
「そうだったんですか」
「子供が大好きで、凄く優しくてね、公園なんか連れて行くでしょう、そしたら、泣いてる子なんかを見つけて、顔中舐めたりするのよ。今も、困ってる子なんか見つけて、助けてあげてたりしてね。いつも思うんですよ、変に正義感の強い子だったから、まだ成仏しないで、誰かを助けてるんじゃないかって。そういう子だったから」
「そうですね」
「え?」
「あ、いえ、大事に育てられたんですね」
シンバがそう言うと、女性は少し悲しそうな笑顔で頷いた。
どうして死ぬ運命は来るのだろうと、悲しそうな笑顔が言っているようだった。
「死んだら、どうなるのか、私にはわからないけど、幸せでいてほしい。そう思います。強く、賢く、誰かの為に! それが、あの子だったから、そのままの逞しいままでいてほしいです。私の大好きなあの子のままで。死んでも変わらず——」
そして、孤児院の目の前——。
「ありがとうございました、助かりました」
シンバは女性に頭を下げると、女性は首を振って、
「いいえ、では、これで」
と、頭を下げた。
「あ、あの!」
「はい?」
「あの、新しい犬!」
「え?」
「さっきの犬! 家で留守番してる犬! 立つと大きさこのくらいでしたっけ?」
シンバはそう言うと、足の膝くらいの高さで手を置いて見せた。女性はクスッと笑い、
「いいえ、立たせたら、もっと大きいですよ、このくらい」
と、女性は自分の腰の下辺りで手を広げて、置いて見せる。
それは丁度、座っているファングの頭を撫でる感じになった。
ファングは嬉しくて嬉しくて、千切れんばかりにシッポを左右に振り、鼻を鳴らした——。
「ファングは、死んでも変わらずですよ」
「え?」
「変わらず、強く、賢く、誰かの為に動く、正義感の強い犬ですよ。忠実にアナタに従ってます。アナタが望むままのファングでいるんです、死んでも変わらず、アナタが好きだから」
そう言ったシンバに、少し首を傾げ、無言の微笑みで、頭を下げると、クルリと背を向け、女性は行ってしまう。だが、ファングは追う事はしない。
シンバはファングの傍に行き、
「いい子だ」
と、頭を撫でた。
女性は、シンバが余程、犬が好きなんだと思ったが、
『折角ですが、僕は犬が苦手なんです』
そう言っていた事に気付き、振り向いて、シンバの姿を探す。
「そう言えば、私、ファングなんて名前、教えてない・・・・・・」
そして、シンバの奇妙な模様の入った服装に、聖職の者かもしれないと——。
「もしかしてファングがいたの?」
だが、それに気付いても、気付けない。もう住む世界が違うのだから——。
『死んでも変わらず』この言葉に、女性は涙が溢れでる。
死んでも変わらず、アナタが好きだから——。
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