冒険録74 夢オチはとても便利だぞ!
打つ手がないと思われた厳しい
自分自身が目の前に現れたら
ぷっくり
心の中で
やがて動きが止まったところで、胸ポケットのルナに耳打ちでお願いをしてから
「あっ、ついた。よかったぁ――ってええええ!? ゆっ、ゆづが、いる? どどどど、どぉなってるの!?」
やはり驚かれてはしまった。だが、こうして本人が自分と見間違えるほどには、上手く変身できたようだ。
「あー、こほん」
うぉすげぇ、俺の口から夕の声が出るぞ――って感動してる場合じゃない。ここからが勝負だ!
「ゆづ、良く聞いてね。ここは、夢の世界なの」
「ゆ、め?」
「そうよ」
む、むぅ……夕の口調を
「ねね、上をみて? 妖精さんがいるでしょ?」
「やははー!」
「わぁ~、かっわいい」
耳打ちでお願いした通り、ルナが俺たちの真上でクルクル
「ほらほら、ゆづが二人いたり、妖精さんがいたりなんて、
「そっ、そっかぁ。こんな不思議なこと、夢に決まってるよね。あ~びっくりしたぁ~」
ゆづはそう言って胸を
「うん。でも実はね……あんまり長いこといると、この夢の世界から出られなくなっちゃうかもしれないわ」
「えええっ、そうなの? たいへん、早く起きなきゃ……」
ゆづは
「ふふ、ここは特別な夢だから、
「んえ……? 寝たら夢がおわる、の? うふふっ、へんなのぉ」
自分(?)の言うことだからか、不思議そうにしつつも納得してくれた様子。一度だけ俺と会ったときには、
そこで俺は顔以外を見られないように、すかさずゆづの背と膝に手を当ててお
「うわわわぁっ! 夢のゆづは力持ちなのねぇ」
身体は男子高生だしな。それにゆづが軽すぎるのだ。
「えっと、ここでふつーに寝るだけで……いいの?」
「ええそうよ」
俺が
これでゆづの精神状態が落ち着いてくれたところで、夕が交代しようとすれば
すると魔法が効いたのか、夕の交代の作用なのか、すぐにゆづが
「………………ふうぅぅ、何とか乗り切ったか」
ギリギリの
そうしてゆづの愛らしい寝顔をじっと
「……んっ、戻ったよ。ごめんね、パパ」
夕が目をゆっくりと開けながら、申し訳なさそうな声でそう言った。ちなみに夕は、ゆづが起きている間も感覚を共有しているため、今の一部始終を全て
「まぁ、上手くいったし気にすんな——ってのも、さっき風呂で一緒に対策を考えてたし、パニックにならずに済んだかも?」
「うん。何でも準備は大切よね」
そこで夕が隣に立つ俺に顔を向けるなり……
「――っぷふふ、あははは」
「ごごっ、ごめん。あたしの顔と声なのに、口調と身体はパパなんだもん――ぷふっ、おかしくってぇ~」
「ぱぱなのにままなのー! いひひひひ、へんてこなのー!」
降りてきたルナまで笑い出し、顔をツンツン
「ははは……これでよくゆづを
「ふふっ。だって、顔だけはビックリするくらいソックリだもん?」
夕がそう言って身体をベッドから起こすと、両手でチョイチョイと手招きする。俺が顔を近付けてあげると、まじまじと見つめてきた。
「んや~ほんと
「あ、いや……ま、まぁな」
夕が顔を赤くしてモジモジし始めたので、俺も
『――くくく、
「「っ!?」」
テーブルに置かれた時計から魔王様の声。
なんてこった、スクリーンは消えても通話は切れていなかったのか!? ええい、またカレンに
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