冒険録75 妖精さんが大手柄を挙げたぞ!
夢オチ作戦でゆづを夕に再交代することに成功した俺達は、ベッドから元のテーブルに移動して並んで座ると、カレンの声が聞こえる
『いやあ、ハラハラしながら音声だけ聞いていたのだが……無事に乗り切れたようで何より。――っと誰かタップしてくれるかい?』
「はーいなのー!」
すぐにルナが飛んで行き、ピチンと
『それにしても、あの差し
「ぐぬぅ、早く
カレンにまで笑われてしまったので、試しに変身を戻すイメージで魔法を
「おお~、モーフィングみたいで面白いわね?」「ままがぱぱになったのー!」
どうやら無事に顔を戻せたらしく、これで魔法は効果が切れる前に強制的に解除することも可能と分かった。いずれどこかで役に立つテクニックかもしれない。
『……それで?』
カレンが俺を見てそう
「ああ。この世界ではゆづに交代しないことにしてたんだが……長時間交代しないと、さっきみたいに勝手に出てくるようなんだ」
「うん……あたしの考えが甘かったわ……」
「いや、知り得た情報から総合的に考えて、最善手と判断したんだ。こればっかりは
しょんぼりと
「それよりも、次にどう
「……うん、そうね。ありがとっ! いつでも前を向いてるパパ、素敵だよ♪」
『ひゅぅ~かっくいぃ~♪』
「ぱぱかっこいーの!」
こうも
『――こほん。そうなれば、もうひと相談ご希望かな?』
「ああ、
「
『くくっ、もちろんお安い
『ではまず確認。ゆーちゃんには、
「はい。直前まで全く」
「となると、いつ起きるかも分からないゆづを夕が察知してから、たったの数秒で対処を考えないといかん訳か……
今回はたまたま上手く事が運んだが、その時の状況次第では
「……どうだ?」
『ふーむ…………では、時計に追加機能でも付けてあげようか。言わば、づーちゃん警報機』
「んなことできるのか!?」
『くくく。魔法と科学技術を
この魔王様、マジで無敵か。
「すみません。魔改造、お願いします……でもどうか、
状況が状況なので
『うむ、任せたまえ。これはマジカルエンジニアとしての
「じゃぁ、早速明日
『いや、通話後に回収してあげよう』
カレンはそう言って得意げに指先をクルクルと回しており……なるほど、小さなゲートで
「……んで、起きるのが事前に分かるようになるとしてだ、実際の対処はどうするよ?」
「うーん、さっきみたいにあたしへ変身してもらうのは……いずれボロが出そうで
「だなぁ。顔以外見られたらアウトだったし、ぶっちゃけ良くあれで乗り切れたもんだ」
より安全性の高い方法を考えねば……とは言え、
「なぁカレン、この世界に眠り薬みたいなもんはないのか? ほら、よくサスペンスドラマとかで、後ろからクロロホルムの布を口にあてて眠らせたり?」
『ないこともない。だが確実性かつ
「絶対ダメだ」
「あとねパパ、クロロホルムでぱたんきゅぅ~は話の展開に便利だからフィクションで良く使われてるだけで、現実じゃまず不可能なんだよ? 武術の達人が首チョップで都合良く気絶させるのと同じくらい、無理の無理」
「あ、そうなんか……」
良く考えてみれば、人体がそんな簡単に気絶する構造の訳がない。
「うーん――あっ、カレンさん! この世界の魔法やスクロールに、傷付けずに眠らせるだけのものはないんですか?」
なるほど、俺達のリア充魔法は精神操作に制限があるが、この世界の魔法ならば仕様は違うかもしれない。
『
「残念です……」
ファンタジーあるあるの魔法だが、
「はぁ~……そもそも、この
「ああ……やっぱりパパはパパだよぉ……あううぅ、
夕は少し目を
ただ、言うは易しというもので、俺がゆづと対面できないという条件が、とにもかくにも厳しすぎるのだ。何とかしてこの根本の問題を解決できれば良いのだが……夕にとっての超重要
そうして俺が頭を
「……ねーねー、ままじゃないままもままなのー?」
「……んんん?」
「ええそうよ。ルナちゃんにはちょっと難しいかもだけど……実は昔のママなの。ゆづって呼んであげてね?」
そうか、見た目が全く同じであっても、夕とゆづが別の存在とルナにはちゃんと分かっているようだ。それで、ママと違うっぽいけど同じママのにおいがするしやっぱりママなの? ってところだろうか。……にしても夕のルナ語読解力がはんぱねぇな。俺は普通に何言ってるか分からんかったぞ。
「んとんと……こどもの、ままぁ?」
「うん」
「やったー、ままがふたりなのー! うれしいのー!」
ゆづはママというよりも、お姉ちゃんだとは思うが。
「るなね、るなね、づーままとゆーままと、みんなでいっしょにあそびたいのー!」
「ふふっ、それができたら素敵ねぇ……」
夕とゆづが
「でもね、ママ達の身体は一つしかないから、一緒には出てこられないの。だから残念だけど、ゆづは
「えー? づーままだけ、かわいそーなのー! づーままにも、からだあげるのー!」
「「『!?』」」
幼女妖精さんの
「「『それだぁ!!!』」」
そして
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