第8章 月と金星と夜間補講
冒険録66 ヒロインの髪がツヤツヤになった!
俺と夕とルナの三人は、
そうして俺が対面の二人を何とはなしに
「あらら、ごめんねルナちゃん」
「乾かそうか?」
「うん、お願いしよっかな?」
この世界にドライヤーは無いものの、代わりに魔法という便利なものがある。特に
早速と俺は
「アクア・ドレ――」
「どしたの? ――あっ、確かにマズイわねぇ……となると、
「いや待った」
俺は静止の声をかける。一つ
「上手くいくかは分からないが、先に
「保護……なるほど、それならいけそうね! んやぁ、やっぱりパパは賢いなぁ~。それにこんなにあたしの髪を
「ぱぱかっこいいー!」
「ちょちょ、二人して大げさな……」
「――こほん。それで浸出はeffusionを使うかな」
「オッケー」
俺が知らないと思われる難しめの単語は、先んじて教えてくれる夕先生。いつもお世話になります。
「んじゃ早速……【
夕の身体からの水の浸出を防ぐバリアをイメージしつつ、髪全体を
「からの、【
毎度お
「……どうかな?」
俺が水抜き完了を告げて夕の前に回ると、二人は髪を
「んーと……――おお! すっごくツヤツヤ!」「すべすべきもちいーの!」
「よっし!」
どうやら防護魔法が想定通りに作用したようで、無事に隙間からのみ水を抜き出せた。こうして
「んやぁ~、これだとドライヤーとかアイロンと
「アイロン!?」
まさかのアイロンで髪を
「えっと、
夕は両手をちょんと胸元に出すと、「かぱかぱぁ~」と言って動かし、ついでにルナも
「どちらかと言うと、乾燥用じゃなくてセットアップ用だけどね?」
「へぇ~」
「またお願いするね?」
「おう、任せろ」
夕の髪を守れるなら、こんなものお安い
◇◇◇
そうしてひと仕事を終えた俺が椅子に戻ると、ルナも定位置とばかりに乾いたお団子髪に座った。
「ふふっ、お
ルナは両サイドで夕は後頭部だが、どちらも同じお団子髪なことに気付いてそう
「あ~! 別に意識して結ってなかったけど、そうね?」
「おそろいー!」
「まあ、数は違うけどな?」
「むー!」
するとルナが
「ままといっしょにするのー!」
「う、うーん」
お人形サイズであるルナの髪を結うのは不可能に近いし、水のように絶えず流動し続けている不思議な髪なんて、そもそもどう
「えいっ!」
そこでルナが
「おおお、すっげぇ」
「やぁんもぉ、かっわいい~♪」
ルナのヘアチェンジが終わるや否や、夕が抱き寄せて頬ずりしつつ、黄色い声を上げる。……なるほど、夕の髪を見た通りにイメージして、自身の髪を願いの魔法で操作した訳か。そうなると、普段の髪型も手ではなく魔法で結っていたのだろう。まったく器用なもんだな。
「そっくりー?」
「うんうん、
「むふぅ~」
ルナは大好きなママと同じ髪型になれて満足したのか、嬉しそうに鼻を鳴らす。二人はサイズの差はあれども顔の造形が近いので、さらに髪型まで同じとなれば、まさにソックリさんというやつだな。
【願いの力:418/418(+8)】
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