冒険録65 ヒロインは意外と策士だぞ!
俺と夕が二階の部屋へ戻ろうと倉庫を抜け、ランタン片手に酒場への
「ただいままー!」
「おかえり? ルナちゃんどこ行ってたの?」
「じゅーすおいしかったのー!」
飛んできたルナは夕ママの
「あら、ちゃんとバコスさんにお礼言ったの?」
「うんっ!」
「よしよし、
「ふやぁ〜」
夕はルナの頭を指先でナデナデしてあげており、
そうして三人でL字階段を上っているところで、先を進む夕がクルリと振り返った。この二段差の位置関係では、四十㎝以上の身長差がある夕と真っ直ぐ視線が合うことになり、とても
「パパ。色々あったけど、楽しいお風呂だったね」
「ま、まぁな?」
総じて楽しかったことは確かだが、その色々があまりに
そこで夕は再び歩き出すかと思いきや、何やらモジモジしながらこちらをジッと見つめると、
「あ、あのぉ、それだったら……また
少し
「な! そ、それは……」
「…………むぅ、イヤ、だった? そ、そっかぁ……」
見る見る夕がしょんぼりしていき、とても心が痛む。
「いや! そうでもなくなくない、ような気もしたりしなかったり……?」
「もう、どっちなのよぉ〜。ハッキリしなさーい!」
決して
「ぱぱもいっしょなのー!」
「ほらほらぁ、ルナちゃんもこう言ってるよ~? 妖精さんのお願いは
「だよー!」
俺の
それで確かに、ルナの願いを叶えるのは俺たちの大きな目的の一つでもあり、加えて夕がそこまで喜んでくれるなら
「……ぜ、善処することを検討しておく!」
だが正直に言うのはアレがアレなので、政治家のように濁してみる。
「ぷふっ、そんなお堅い言葉で照れ隠ししちゃってぇ。んもぉ、だいちくんってば、ほんと照れ屋さんなんだからぁ。か~わいい♪」
すると再び大人モードとなった夕さんは、正面から俺の頬をツンツンしてからかってきた。ただ、そう言いながらも顔を照れで赤くしていては世話ないというもので、この夕さんならワンチャン勝て……ないね、ウン。特に今は段差で身長差も埋まって
「――さぁて! 無事にお風呂の予約も取り付けたし、あとはお部屋に戻って一緒のお布団で素敵な一夜を過ごすよぉ~」
「ちょぉ、言い方ぁ!」
「にしし」
このニヤニヤ顔は、絶対に分かって言っている。夕さんめ、純朴男子をからかうのがそんなに楽しいか! あと予約はまだ取れてないから!
「かわのじー!」
「うんうん、もちろんルナちゃんも一緒だよ! 川の字楽しみ――」
「「ね~♪」」
二人はまさに
~ 第7章 月と金星と家族風呂 完 ~
【410/410(本章での増加量+155)】
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第7章までお読みいただきまして、誠にありがとうございます。
二人の混浴にドキドキしちまったぜ! 大人夕さんに手玉に取られたい! などと思われた方、ぜひとも【★評価とフォロー】をお願いいたします。
第8章は、ついにあの子が登場してしまいます。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
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