冒険録59 隠れヒロインはお休み中らしいぞ!
そうして俺と夕、ついでにルナとの混浴タイムが始まってしまった。俺たちは一mほど
それは決して気まずい
「夕」
「ひゃぃっ! ――なぁにパパ?」
この驚きようからすると、夕の方も
「あー、気になってたんだけどさ……ゆづって今どうしてるんだ?」
ゆづとは現代を生きる
「えーと、いつも通りと言えば、いつも通り? ちゃんと中で寝てる――ってのも変な話だけど、大丈夫よ」
「ん、そうか。夕が
「うふふ、ありがとね。やっぱりパパは優しいなぁ~」
夕にとってのゆづは、自身の過去――つまり広義では同じ存在なので、こうして俺がゆづを気にかけると、いつも自分のこととして喜んでくれる。
「……となると、そろそろ交代時間のような?」
俺と夕が目覚めてから、すでに十時間程度経過している。確か夕の話では、日常生活を送るゆづの
「んー、日本ならそろそろだけど、ここでは交代しない方がいいと思うわ」
「それは………………ああ、そうだよな」
「うん、パパもそう思うよね」
仮にここで交代したならば、ゆづは
「ゆづにはほんとゴメンだけど……日本に帰るまでは寝ててもらうしかないわねぇ」
「仕方ないよな…………でも、勝手に起きたりは?」
「んー、あたしが交代しようと思わない限り、それは多分ない……と思う」
夕の意識の方が上層にあり、ゆづは夕の存在を認識できないそうなので、そもそもゆづ側に交代するという意思が生まれ得ないということだろう。
「でも、どこまで交代せずにいけるかなんて試したことないし、身体の防衛反応やら何やらで勝手にってこともあるかもしれないわ。同じ
夕は霧の中からお湯をピッピッと樽の外へ
「でも、もしそんな気配を感じたら、すぐパパに言うからね?」
「おう。そんときは……魔法でも何でも使って緊急対応する」
「あそっかぁ! ここなら魔法って裏技があるもんね?」
日本で突然ゆづに変わられたら、俺が全力で逃げるくらいしか手がないが、ここでなら色々と対処の方法がありそうなものだ。うむ、万一が起きてからでは遅いので、今のうちに少し考えておこう。
「魔法で無力化と言えば……よくあるのが眠らせる魔法……?」
「んや、難しいんじゃない? ゆづも願いの力での感情操作の対象になれるとは思うけど、本人の
「ああそっか」
「んとまぁ、多少
「う、むぅ……」
ゆづも夕には
「
「ふふ、
霧の中の夕は、安心した声でそう告げる。俺はその期待に応えるべく、色々な意味でもっと強くならねばと思うのであった。
◇◇◇
俺と夕が真面目な話をしている中、幼いルナはどうしていたかと言うと……
「つぎはぱぱのぼりなのー! ――んしょっ、んしょっ」
二つの樽を定期的に移動して、俺や夕の頭をよじ登ったり周りを泳いだりと、一人遊び(?)を
「うふふ。まるで家族風呂だね?」
「ははは……そう、かもな」
父・母・娘ないしは父・娘・娘、変則型で弟・姉・娘もありと、一応は家族の形を取っており……それもあながち形式上だけの関係とも言えないのだ。
そもそも夕が俺をパパと呼ぶのは、俺から失われた家族の温もりを届けたかったためでもあり、またそれは未来の俺から義理の娘として愛され育てられた恩返しでもあるのだ。一方で俺も、こうして俺の心を救ってくれた夕を、血の
そういった色々と複雑な要素も
そうしてドキドキな混浴の最中ではあるが、同時に温かく
「おーい、大地いるかー?」
風呂場の外から声がかけられた。
「……ん、ヤスかー?」
「おうよー。いま一人だよな? 仕事終わったし、一緒に入ろうぜ!」
「待てっ!!!」
「え、なんで?」
「それは……」
ええい、夕と一緒に入ってるからなんて言えるか!
「なんででもだ! 今日のところは
「えー? そんな冷たいこと言うなよ~、僕らの仲だろぉ~?」
俺の断固
「くっ、どうしたら……」
夕は霧で隠れているし、
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