冒険録47 酒場にイカヅチが降り注いだ!
俺たちは食べかけの
「おーいおい、農民が入ってきたぞ。入る店間違えたかぁ?」
「うっわ、きったねぇ格好で来やがって。飯が
そこで背後から発せられた声に後ろの席へ振り返れば、身なりの良い男達が不快感を
「……馬鹿なヤツらだ」
そこでホリンがヤレヤレと首を振って
「夕ちゃん、軽く耳
ヤスがそう続けて自身の耳に手を当てた。一向に
「ハハッ、
「だなっ、区画路の奥へポイっとな? おーい大将さ――」
「だまれぃ
「「「っ!?」」」
そこでバコスの雷鳴の
「このバコスの酒場は
「「「ヒィッ」」」
店内と
そこでバコスさんは男達を再度睨みつけてフンと鼻を鳴らすと、入り口でぽかんとする青年達に近付いて行き、
「……あー、気ぃ悪くせんでくれナ?」
豊かな口ひげをさすりながらそう言った。
「とんでもねぇだ! 大将がおでら農民のためにこうまで言ってぐれて、感激だぁ~」
「ハン、たりめぇのこと言ったまでだ。……ま、
「「わかっただ!」」
◇◇◇
追加のバコス焼きが来る頃には、後ろの身なりの良い男達も居なくなっていた。ヤスが片付けている皿は
それで周りの席も空いたということで、先ほどの件で気になったことを聞いてみることにする。
「なぁホリン、ちょっと聞き辛いんだけどさ……農民の人達ってのは、いつもああいう
「ん……最近は農地改革も進んで
「ふむ……」
現代では農家だからと言って蔑まれることなどないし、むしろ
「……共に同じ王都に住む人間だというのにな。実に
ホリンはジョッキをぐいと
「ホリンさんはその……貴族、なんですよね?
今は門番ホリンなので、聞かれてはマズイ可能性もあると思ったのか、夕は小声でそう
「一代限りだがな? ――んでユウヅは、そんなオレがなぜ農民の
「っあ、ええと……はい。
「ハハハ、謝ることじゃねぇよ。ユウヅはほんと
夕はプライベートに踏み込みすぎたと焦ったようだが、ホリンは全く気にしていない様子。
「んでオレは、貴族にしては
「「……」」
想定外のヘビーな回答に、なんとコメントして良いか分からず、夕と顔を見合わせる。
「おっとすまん、こんな話されても――」
「えっ、お前農民出身だったん? マジかぁ、大出世じゃん! おいおい、どうやったんだぁ? お・し・え・ろ・よー!」
そこでお代わりを持ってきたヤスが会話に混ざると、空気が一瞬で軽くなった。これもある種の才能かもしれない。
「ったくお前は……んまぁ、簡単に言うと、
コネに
「ふーん。んじゃ団長らの中では誰が一番強いんだ? つまり国最強のヤツ!」
「それは分からんな。五人とも武器が違って相性があるし、それに戦う
「……どゆこと?」
「考えてもみろ、いかなる
「おお、そりゃそっか。要はジャンケンみたいな関係な?」
「そうそう、五種類ある
水槍騎士団長のホリンが水の
「例えばオレの場合、相性の良い
「だが……特にあの女――こほん、
「うふふ。そうですねぇ~」
その苦々しい顔をするホリンを見て、
【206/206(+0)】
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第6章半ばまでお読みいただきまして、誠にありがとうございます。
バコスの親父さんカッコイイ! 酒乱幼女が見たいぞ! などと思われましたら、ぜひとも【★評価とフォロー】をお願いいたします。
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