冒険録45 ヒロインには禁酒令が出されていた!
バコスさんとホリンの後に続いて、俺は人生初の居酒屋――ではなく酒場へと足を
店の
「――ふわぁ~、とっても素敵なお店! 外観だけじゃなく内装も
「ハッ、こんなめんこい嬢ちゃんに手放しで
隣の夕がほぼ真上を見上げて店の感想を伝えると、バコスさんは指で鼻をこすってニヤリと笑う。……それにしても、夕と並ぶとバコスさんの巨体が増々大きく見えるな。夕は身長百三十㎝強なので、俺だと胸下くらいに顔がくるが、バコスさんだと腰元というね。
「儂は
バコスさんはセカセカとフロア業務に従事するヤスを指差すと、カウンター奥の厨房の入り口で頭を少し引っ込めて、
そこでホリンが入り口
「いつもの席なんだ」
「…………店内を見張りやすい?」
そのホリンの位置からは店内の様子を一目で確認でき、加えて壁に立て掛けた槍を一瞬で手に取ることができる。それで
「ふっ、ダイチもやるねぇ。ま、あんたらの背はオレが見といてやるから安心しな」
「そりゃどうも……」
まさに
それでホリンに習うという訳でもないが、ふと真後ろの席を見てみると、
「――さ、まずは一杯だ。オレは麦酒にするけど、ダイチも同じでいいか? ユウヅは……まだ早い気もするが、
「「え?」」
「……あのぉ、この国では何
「ん? そんな決まりはないし、
「そう、ですか……」
ヨーロッパには十六歳あたりの国もあると聞くし、
「……夕、もしかして飲みたいのか?」
すると夕はビクッと
「(あのねパパ、実はあたしお酒すっっごく好きなの。特に日本酒とワインが大好きで、いくらでも飲めちゃう)」
「(お、おお。そりゃ二十歳だった訳だし、お酒くらい飲むよな)」
「(うん。なんだけどね……なんかあたしお酒飲むと『スゴイ』らしくてさ? 向こうのパパに『お願いだから俺の居ないところで絶対に飲まないでください!』って必死に
「(おうふ……)」
夕はまさかの
それでその「スゴイ」とやらがどうスゴイのか、とても気になるが……とりあえず飲まない約束をしているなら大丈夫だな。夕は特に俺との約束は絶対に守る子だし、うん。
「(――でも、同じパパの前ではある訳だし、約束を破ることにはならないよね……? ということで飲んでもいっかな?)」
だあぁもう、そう来たかぁぁ!
「(いやいや待て待て、そういう問題じゃない!)」
「(むぅ~?)」
そんな不満そうに
「(あー、あれだ。そもそも年齢制限は未成長の身体に負担が掛かるからもあるし、いくら中身が二十歳でも身体が十歳じゃマズイだろ?)」
「(ぐぅ……そ、そうよね……ゆづの身体でもあるもんね……ぐにゅぅ、またしてもこの身体のせいでぇぇ!)」
夕は物凄く残念そうにしつつも、一応は納得してくれたようだ。そもそも
ちなみに「ゆづ」とは、未来の夕が移動先としたこの十歳の身体の本来の持ち主――つまり現在を生きる
「――で、何にする?」
それで俺はどうするかだが……飲みたいのを必死に
「待たせてすまんな。俺と夕はお酒以外にする」
「え、ダイチもか?」
「ああ、実は
「そうかぁ、残念だが下戸じゃ仕方ないな。いつも通りヤッスと飲むとするか」
なにぃ、ヤスは飲酒経験済みと……そりゃ酒場で働いてたら自然とそうなるか。くっ、ヤスが先に大人になったようで、少し
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