冒険録44 酒場から巨大な熊が現れた!
四人でしばらく水の大路を進むと、左右
「こっち」
ヤスが指差した左側の橋を歩いて大水路を
先頭を行くヤスは、橋を渡ったすぐ右横の店に近付くと、その店先で振り返った。
「さ、ここだ」
ヤスが指差す
「もうお客さん居ますけど、今日はお仕事お休みですか?」
「あっ!
「えーと……今十九時過ぎですし、三十分以上は
夕が時計の時計機能(?)で時刻を確認して伝えると、ヤスの顔が青ざめる。
「ま、まぁ、大地達が街に入れるように協力してたからだし、話せば分かってくれるはず! そう思いたい! うん!」
ヤスは必死に自分へ言い聞かせて
「あれ……?」
そこで時計を見ていた夕がボソッと
「三時間二十分……城門に着いた時から四十分も増えてるよ?」
「おかしいな。ルナは…………うん、まだ寝てるな。……どゆこと?」
「わかんない……」
俺たちの推測ではルナが満足した時に増えるはずだが、今回はそのルナが
そうして二人で首を
「――よ、よし。入る、ぞっ!」
ヤスは入る決心が付いたのか、そう言って目の前の古めかしい木製扉を開く。カランカランと
「マスターただい――マ゛ッ」
「おせーぞクソ
何事かと目線を上げていくと、なんとそこには……熊が居た。――いや、熊と
「ヒッ――っむ、もにゃむにゃ」
夕は一瞬
「オイ坊主いつまで寝てやがるっ! 客がワンサカきてんだ、一分で
「ッハイィィッ!」
倒れていたヤスが大慌てで飛び起きると、店の奥へと走って行った。自分で
「――お? ホリンの小僧もいるじゃねぇか。
「オヤッサン、オレはもう小僧って
「ああン? ナンダいっちょめぇのツラしやがって、
「ははは……」
ホリンは困った顔をして
それで不思議そうにする夕と顔を見合わせていると、ホリンが振り返ってこっそり耳打ちしてくれた。
「(このバコスさんには、ヒヨッコの頃に色々と
「「(なるほどぉ)」」
「(で、見た目通りのとんでもなく怖い人だ。ヤッスの二の
「(あら、ホリンさんにも怖いものがあるんですね? なんて、うふふっ♪)」
「(おっと返ってきたかぁ。こりゃ参ったなぁ)」
ホリンが一本取られている間に、バコスさんが入り口から顔を出すと、
「小僧、後ろで何をコソコソ――ン? その
ホリンの後ろに居た俺と夕を見つけてそう聞いてきた。
「ああ、ヤッスとオレの友人でダイチとユウヅ、ついさっき田舎から王都へ来たところだ。んで客でもあるな」
「そうそう。森で再会したんだけど、
手早く
「それをさっさと言わんかい!」
「ふげっ」
また頭にゲンコツを食らってしまった。結局ヤスは何をしても怒られるんだなぁ……ヤスとは言え少々気の毒になってきたかも。
「……あー、ダイチにユウヅと言ったか。うちのボンクラ坊主がチィと世話んなったらしいな? 恩に着るぜ!」
バコスさんは俺たちに一歩近付くと、その巨体を深々と曲げる。
「いやそんな、ヤッスとは長い付き合いですから」
「ええ、お友達として当然のことをしただけですよ」
「ン、そうか……坊主もいい友を持ったナ……」
バコスさんはそう呟いて、その口元を
「ま、礼代わりになるか分からんが、飯をたっぷり食わしてやっから、ゆっくりしてってくんナ?」
「「はい、おじゃまします!」」
夕と共に元気に答えると、憩いの酒場バコスの中へと入って行った。
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